月刊 ★ ねじまき 

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浪越靖政さん。

浪越靖政さんは、かぎりなく優しい穏やかな笑顔を浮かべた人である。声もまた優しくて、物腰は柔らかい。その浪越さんが、句集を送ってくださった。新葉館出版から出ている『川柳作家ベストコレクション 浪越靖政』という句集である。冒頭のページに浪越さんの言葉がつづられている。
  伝統芸術は日々進化をしつづけることで、
  時代から受入れられ支持されてきた。
  川柳も例外ではない。
  常に向上を目指していかなければ、
  すぐに時代から取り残されてしまう。
句集の最初に浪越さんの覚悟というか矜持が示されているのが清々しい。果たして、私はそんなふうに川柳と向き合っているだろうかと改めて考えさせられる。甘んじない、妥協しない、とどまらない。あたりまえだが、難しいことも確かだ。川柳の大先輩がこんな覚悟を持って言葉と向き合っていらっしゃることが、とても心強く感じられた。

一句また一句 源泉かけ流し   浪越靖政

言葉を巧まずに、あふれ出る真情をそのまま一句にして紡ぎ出すということなのだろうか。にこにこ笑っていらっしゃる顔が浮かぶ。ぜひお尋ねしてみたい。

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by nezimakikukai | 2018-02-14 17:44 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(1)

『晴』より。

樋口由紀子さんの20句のタイトルは「空腹」である。もちろん、食べ物がいろいろ登場する。生椎茸も大根もケチャップやマヨネーズも親しい日常そのものであり、だからこそ、そこから不意にかたちをとって現われてくる何かがある。由紀子さんが、それらに言葉を与える。

蓮根によく似たものに近づきたい

蓮根の穴は深遠な通路だと思うけれども、「蓮根によく似たもの」であって蓮根ではない。そのよく似たものになりたいわけでも、なるわけでもなく「近づきたい」のだ。こんなに曖昧なのに、なぜかわかった気がしてしまうのがおもしろい。「蓮根になりたい」と言われても、何とも思わないのに、「蓮根によく似たものに近づきたい」と言われると腑に落ちるものがある。この不思議な感触を楽しみたい句だ。「そうですか、やっぱりあなたもそうですか。わたしも、そう思うんですよね。」という声がしてくるような気がするのである。

広島やキャベツの千切りつながって

広島と言えば、お好み焼きのキャベツ。これでキャベツの所属が明確になって、姿かたちやら匂いやらがリアルになった。で、「つながって」どうなのか。いや、たぶんつながっている感覚を実感すればよいのだと思う。この中途半端な収拾のつかない気分を五七五を読みながら共有できることが楽しいと思うのだ。意味や説明をくっつけずに、わたしとあなたがつながる楽しさを感じる。

手に葱を持つのは少し早すぎて

そう、葱を持ったら、由紀子さんはもうきっと無敵である。



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by nezimakikukai | 2018-02-06 23:23 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)



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