月刊 ★ ねじまき 

カテゴリ:火曜日にはねじをまく。( 197 )

第22回杉野十佐一賞より。

ウォシュレットになるまでは極道じゃった   小林康浩

第22回大賞作品である。私が私の世界だけで生きていたら、「ウォシュレット」と「極道」は絶対出会わない。川柳は、私に新しい世界を見せてくれる言葉なのだと改めて思う。思いつかない取り合わせで意外なのに、妙に説得力があるところがおもしろい。極道やったんか!ううむ。ウォシュレットになっちゃったんだな、うん。これは、まちがいなく楽しい。

道になる 道を聞かれているあいだ   徳長怜

My favorite! 「道を聞かれているあいだ」が最高に好きだ。ことさら飾ることもなく、さらりと言われた「道になる」は圧倒的に信じられる。好き!と心から思えることを、言葉にして目の前に出してもらえたことがうれしくてしかたない。

毎年、杉野十佐一賞には全国からたくさんの作品が集まる。おかじょうき川柳社のみなさま、選者のみなさまのご苦労は並々ではないと思うけれども、十佐一賞を通してたくさんの作品とその作品の持つパワーに刺激をいただけるのは、わくわくすることである。

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by nezimakikukai | 2018-01-31 22:51 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

ねじまき♯4、巻きました。

「川柳ねじまき」4号が完成した。目標の2017年末の発行には20日ほど遅れたことになる。12月に「杜人」を手にして平伏し、1月に入って「晴」に出会って心が躍った。ねじまきも、ねじまきも・・・と焦りながら、ようやくである。第2号、3号では、リレー作品評だったが、第4号ではメンバー各自が同じテーマでエッセイを書いている。テーマを何にするのか、散々迷った挙句「どうせなら、ぐいっと攻めちゃいましょう」「いちばん書きにくそうなタイトルにしちゃうのはどうですか?」「やっぱ、愛」「え!愛?」「どうせなら」とわかったようなわからないようなやりとりの結果、「愛について」というテーマに決定したのである。攻めちゃいましょうとは口ばかりで逃げ回る者あり、正面突破を試みる者ありの「愛」となった。川柳作品各20句、エッセイの他に、仙台で佛渕雀羅さんに捌いていただいた連句や高得点句を取り上げた討論会の実況も。二村典子が句集『ただならぬぽ』を取り上げ、なかはられいこの〈あとがき〉でゴールする。「川柳ねじまき」#4は1冊500円。(送料は別途)
御注文は、naokobst@k4.dion.ne.jp(瀧村小奈生)まで。

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by nezimakikukai | 2018-01-23 22:37 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

句集『n≠0 PROTOTYPE』

兵頭全郎さんが送ってくださっシャープなデザインの句集。わ、す、すうがく・・・とちょっとビビりながら開く。全郎さんは一度ねじまき句会にも参加してくださったのだけれど、たまたま(そんなこと滅多にない低い確率なのに)私はお休みしていてご一緒できなかった。返す返すも残念なことであった。句集のなかの気になった句たちへ。

こめかみで続く絵本をめくる音
  絵本をめくる音ならいいかなあ。頭の中に海が広がりそうです。

起きてしばらく太平洋にひとり
  起きてしばらくは、そうですね。ただ茫洋と太平洋。

山にいて山の固さになる蚯蚓
  なぜだか運命という言葉を思ってしまいました。

河童闇となりの舟も空でした
  「舟も空」というわけのわからない状況にかなり惹かれます。

法螺貝を通った風の帰り道
  山伏さんのあの法螺貝を通り抜けた風のこと、初めて考えました。

卒業をほぼフルーチェの固さまで
  「まで」ってなんなんだろう?フルーチェが怪し過ぎて気になります。

句集のページから、淡々とした心地よい〈ひとりぼっち気分〉の香りが漂っているような気がする。

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by nezimakikukai | 2018-01-16 23:23 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

『川柳 裸木』

送ってくださった『裸木』のページを、お正月休みにやっとゆっくり開くことができた。情けないくらいの自転車操業的現実生活なのである。灰色がかった薄紫の楚々とした表紙が素敵だ。冬の乾いた白っぽい空に精いっぱい裸の枝を伸ばした木の姿を思い浮かべる。木の姿の中でいちばん心惹かれる姿。
いわさき楊子さんの句から。

体内の遠いあたりに給油する
鯖缶をパコリと開けてあきらめる
美しく剥いだラベルの置きどころ

日常生活の中で、違和感や諦めや戸惑いが、明確なかたちをとった一瞬が切り取られている。それはガソリンスタンドのセルフ給油の所在ない瞬間であり、プルトップの鯖缶を開けた一瞬であり、何ともきれいに剥がれたラベルを手にしたそのときなのだ。昔の缶切りでギコギコ開けるタイプの鯖缶ではこうはならないだろうなと思うと、それも可笑しい。

『裸木』はこの第5号で終刊だと知った。こんなとき、いつも旧約聖書の言葉が浮かぶ。「神のなさることは、すべて時にかなって美しい」始まったことも終わることも、きっと必要不可欠なことにちがいない。今後もメールでの活動は続けられるとのこと。終わりは始まりなのだと改めて思う。

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by nezimakikukai | 2018-01-09 17:34 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(1)

あと6つ寝ると・・・

もうすぐお正月。お正月が待ち遠しかったのはいつごろまでだったのか、今では年末年始というと慌ただしいばかり。新年といったって今日の次の明日であることに何の変わりもないわけで・・・などと言って大掃除のできない言い訳にしている。

だからって辞退できないお正月    三好光明

12月句会の雑詠の句である。思わず心が和んだ。そうですよね。うれしいばかりでもなくて、煩わしい部分も増えてきて、だからって辞退できません、確かに。それぞれに事情の違う読み手の思いが反映されて万感こもる「だからって」である。軽いけれども、決して音数合わせの常套手段などではない有効な言葉なのである。とりあえず、辞退できないのでお正月はちゃんと来てしまう。それでいい。なんたってお正月なんだから。辞退できないことに、それはそれでいいような気軽さも感じられるところがいい。師走のこの押し詰まった時期に、ほっと息をつかせてくれる一句である。

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by nezimakikukai | 2017-12-26 22:53 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

おおがい総集編。

今年の漢字は「北」だった。今年のねじまきは「頁」だった。12月なので、それらしく総集編を。各題2句の恣意的ピックアップ。

「頁」
びっしりと鳥が詰まっている頁     なかはられいこ
逆さまにしても夏とも頁とも      八上桐子

「頃」
鉄塔は鉄の頃からさびしがり      なかはられいこ
裏側の無かった頃の春の朝       三好光明

「頂」
頂に押されて少し凹む空        早川柚香
丹頂の赤はサークルKの赤       なかはられいこ

「順」
こぶたたぬききつねねぎ順次中華鍋   中川喜代子
足の爪憎い順から切っていく      北原おさ虫

「頬」
初夏のアリスの頬をくださいな     魚澄秋来
頬骨のカーブが同じ顔二つ       猫田千恵子

「頭」
前頭葉ななにんがけのななつぶん    瀧村小奈生
九頭竜にアバターとびかう青屏風    犬山高木

「顔」
ふと真顔かなかな夜の草書体      妹尾凛
魚の目を中心にして顔描く       二村鉄子

「題」
手つかずの課題ときどきチイと鳴く   丹下純
宿題は名前の由来しかも犀       安藤なみ

「願」
願いはらっぱらっぱはそらをふるわせる 八上桐子
銀杏散る三割ほどは嘆願書       青砥和子

「類」
担当の有袋類課に代わります      丸山進
年の瀬も南半球 衣類干す       大嶽春水

こんな感じで。

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by nezimakikukai | 2017-12-22 22:48 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

極まれり。

さすが12月、師走である。誰もかれも、どこもかしこも慌ただしい。押し詰まるまで、じたばたと過ぎていくのは間違いない。一昨日、昨日と続けて熱田神宮の周辺を通ったが、歩道に落ち葉がいっぱいだった。まだ黄色や赤の色を残したものから、すっかり茶色に枯れてしまったものまで様々である。時折、強い風に巻き上げられて大暴れしている。寒いので足早に歩く人の足の下で、しゃかしゃかと乾いた音を立てる。隣を歩いている人の音に耳を澄ましながら歩いていると、ついつい歩調が一緒になって競争しているみたいだ。極月か・・・と思う。確かに一年ここに極まれりという様相だ。冷たい空気、薄青い空。カレンダーもついにペラペラと一枚を残すのみである。

極月の雲ひとつなしあてどなし    橋閒石

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by nezimakikukai | 2017-12-14 22:40 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

あおによし金剛力士の骨密度   中川喜代子

「おもしろ川柳会合同句集」第十一号より。
奈良の東大寺の金剛力士像。あの形相なので骨も強そうな感じがするけれど、意外とポッキリタイプかも。マッチョな胸筋のあたりを見ていると、いかにも肋骨が感じられる。何百年もたっている像なので、確かに骨密度は低下しているかもしれない。立ちっぱなしの金剛力士には運動不足も心配な要因である。などと、骨のない金剛力士の骨密度をあれこれ想像してしまうことが、作者にまんまとしてやられることなのだろう。でも、こんな楽しいやられ方なら大歓迎だ。中川さんは、そういうアイテム探しがとてもうまい。先月の句会の雑詠もそうだった。

過呼吸の内匠頭の菊人形   中川喜代子

保育園の頃だったか、初めて枚方パークで菊人形を見て受けた衝撃がよみがえった。そう、あのときは私のほうが過呼吸になりそうだったけど。「過呼吸」と「内匠頭」、しかもただの内匠頭ではなく「菊人形」の内匠頭なのだ。絶妙!

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by nezimakikukai | 2017-12-06 23:30 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

フライパンの取っ手のネジのゆるむ雨   八上桐子

11月のねじまき句会の雑詠の1句である。題詠は事前に投句一覧がメーリングリストに流れるので、前もって考えてくる。しかし、雑詠は句会当日に初めて読んで選句する。いっせいに下を向いて選び出すのだけれど、雑詠10番のこの句にたどりついたとき、とりあえず手首がくらっとなった。フライパンを持ち上げた瞬間の〈くらっ〉、ネジがゆるんでいて〈くらっ〉。思わず顔を上げる。みんなの顔をそっと見る。あっちでも、こっちでも〈くらっ〉が起こっていそうな気がする。この同じ空間でみんなの手首に同じ感覚が走っているとしたら、なんかおもしろい。いや、たぶん十中八九そうにちがいない。「フライパンの取っ手のネジのゆるむ」これを取り上げたことがすごいっていうか、うれしくなってしまうできごとなのだ。私は10番に大きく〇をつける。やっぱり雑詠の最高得点句である。みんな〈くらっくらっ〉していたんだな。
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by nezimakikukai | 2017-11-28 22:59 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

手の中の海を息子が見せに来る    青砥和子

日曜のねじまき句会で、瀬戸のいわゆる丸山組から2冊の句集をいただいた。瀬戸丸山組には2系統あって、青砥さんや中川さんが所属するおもしろ川柳会と、安藤さん、三好さん、北原さんが所属するフェニックス川柳会がある。どちらも大親分は丸山進さんなのだが、瀬戸文芸は活況を呈しているのである。そういえば、作品はまだ拝見していないが、瀬戸の文芸祭では、青砥さんが短歌、丸山さんが俳句の部門でそれぞれ表彰されたらしい。ノリノリの瀬戸である。掲出句は「おもしろ川柳会合同句集第十一号」から。ねじまき句会で見る青砥さんの句とは少し趣が違うような気がする。もちろん、句に描かれていることは現実とは違うのだけれども、地元瀬戸の仲間との句会で読まれているせいか、作者の素の部分が感じられるような気がする。私は親になったことがないので、親として子供を育て上げた人に対しては心から尊敬の念を抱くのだが、息子が「手の中の海」を見せに来ることができる母親の姿はなんとも温かく好ましく感じられる。無条件の信頼関係とでもいったらいいのだろうか。なんだか羨ましい気さえする、私などが窺い知ることのできない世界である。

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by nezimakikukai | 2017-11-21 17:26 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)



川柳句会「ねじまき句会」の公式サイトです
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