しっぽのさきがつんつんあたるブリッジは円を目指してしなさいねゆっくりパンにおなりなさいね
『ぷらむ短歌集4』の飯島章友さんの「うまぶくれ」のなかの1首である。 せつないくらいの懐かしさにつかまれてしまう。「目指してしなさいね」「おなりなさいね」 なんて不思議な口調で言われたら、ブリッジしながらパンになっていきそうだ。 他にも、心ひかれる歌をあげてみる。
粉吹きいも粉吹きいもと呟きがとまらぬこれは春の訪れ 昼前の肉屋の店頭コロッケをかっぽれかっぽれ揚げる音する 頑なにみずようかんの水でいる地上が海の底となっても とおいとおいみらいをおもう箸先で卵の黄身をつついたりして
「粉吹きいも粉吹きいも」と呟いてしまうのは春の訪れのせいであり、昼前の肉屋では「かっぽれかっぽれ」とコロッケを揚げている。「みずようかんの水」って何なんだと思っているのに、「地上が海の底となっても」という断固たる条件が付けられる。「とおいとおいみらい」という不確かなものを思いながら、卵の黄身をつつく。次の一瞬には壊れて流れ出してしまうかもしれないことも予測に含みつつ。
飯島さんは川柳書きでもある。飯島さんの「恐句」からお気に入りの1句を。「恐句」は活版印刷で刷り上げられたこわーい感じのする川柳たちである。
とくりとくとく席に迫ってくる車掌
出会うもの(者も物も)すべてに愛を注ぐ作家さんなのだなあと、つくづく思う。
by nezimakikukai
| 2019-02-26 18:42
| 火曜日にはねじをまく。
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