月刊 ★ ねじまき 

『水脈』第48号より。

『水脈』は北海道の柳誌である。北海道江別市。10年ほど立て続けに夏になると北海道に行った時期があったけれど、函館、小樽、札幌、苫小牧しか知らない。雑誌が届くと、知らない遠い土地がうんと近く感じられる。えべつ。

裏声になるまでまぶす郷ひろみ   落合魯忠

郷ひろみさんの声は独特だったけれど、裏声がまったく想像できない。だから、郷ひろみをまぶしても裏声になれないんじゃないかと心配になってくる。ということは、まぶしてもまぶしても裏声になれなくて…。はてしのない徒労感がおもしろい。そういえば、郷ひろみさんは歳をとることが想像できない方でもあった。今もやはり、裏声はなさそうである。

姉が編んだセーターアンダンテカンタービレ   田村あすか

6・4・5・6の21音なのだが、リズムは悪くない。撥音や伸ばす音が多く混じっているせいだろうか。お姉ちゃんがセーター編んでくれたんやけど簡単やったって。などと翻訳してみたりして楽しかった。

しゃちこばるなよ遠近の冬   一戸涼子

遠近と言えば一番に思いつくのが遠近両用レンズというのは、加齢のなせるわざ?遠近両用レンズが必要な眼は焦点が合いにくくてぼやける。しっかり見ようとしゃちこばる。もちろん、冬の景色もしゃちこばる。江別なら名古屋よりもっと。遠くの景色も近くの景色も寒々と凍っているだろう。遠江の冬は温暖そうだが、近江の冬はそれなりに手ごわい。「遠近の冬」が不思議でいろんなことを考えてしまった。

さくら餅うぐいす餅と橋渡る   酒井麗水

春だ!それだけでうれしい。「さくら餅うぐいす餅」のうきうきした感じは、スキップでも始めそうだ。橋を渡るという行為は、何かしらの変化をもたらす。橋の下には水の流れる音。一句が、「春」と歌っているように思われる。

あれそれとフリーズドライされたまま   浪越靖政

一番出てこなくて一番困るのは名前である。「あれ」や「それ」が多くなって、夫婦で「あれそれ」言っていると本題を忘れて大笑いしてしまうことがある。でも、フリーズドライだったんですね。腐ったりせずに長持ちするし、持ち運びも便利そうだし、じゃあ安心。フリーズドライして「あれ」にしただけなんだから悲観することもない。フリーズドライしておこう!

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by nezimakikukai | 2018-05-22 22:54 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)
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