月刊 ★ ねじまき 

レトリックについての断片

野内良三氏の『レトリックと認識』の中から、気になったいくつかの断片(※)を引用する。あるときには、何の気もなく通り過ぎていた言葉が、別のときにはとても近しく感じられることがある。

※レトリックは世界(自己)を「語る」ための技術であるだけではない。世界を「発見する」ための方法でもある。世界を「読む」ための方法でもある。

※私たちの日常の発話は手垢にまみれた「慣用表現」からなっている。私たちは他人がすでに使った言葉を引用しながら、自分のおもいを表現する。ほとんどの場合はそれで十分に用は足りる。

※ところで、言葉というものは意外に融通無碍なものである。ふだん結びつかないものでも強引に並べてみると何となくそれらしい意味を帯びてくる。「冷たさ」と「情熱」とは常識的には矛盾する概念である。しかし「冷たい情熱」という言い方はある条件下では立派に通用するはずだ。

※現代レトリックは「世界/テキストを読む」認識者の立場を強調する。想像力を羽ばたかせると、この世界の事物間には思いもかけなかったような関係が結ばれることになる。それは新しい物の見方に通じる。

レトリックは単に効果的な表現のための技術ではなく、私たちに世界の新しい見方を示してくれる〈可能性〉なのだと思う。

  

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# by nezimakikukai | 2018-05-15 23:16 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

4月の最高点句。

4月句会の題詠、雑詠の最高点句を振り返る。まず題詠から。題は「第」。

ラジオ体操第二までする町工場   早川柚香

ラジオ体操の「第二」が読み手を引き付け、「町工場」との組み合わせが郷愁をそそる絶景ポイントになったようだ。たしかに昭和人をくすぐる景色である。町工場の経営者の人の好さや、実直でつましい人々の暮らしぶりまで感じられて、いい雰囲気なのだ。ラジオ体操の第二に目をつけたところ、町工場という設定、どれもおもしろい。しかし、この句を選ばなかったなかはられいこさんの一言が何ともシャープだった。

「ラジオ体操第二からする町工場」だったら選んだかもしれない。

「まで」が「から」に変わるだけで世界の重力が変わる。助詞の偉大さを痛感するとともに、簡単に句をできあがらせてしまわないことの大切さを再確認した。

雑詠の最高点句はこちら。

しらばっくれてもつぶつぶまで苺   猫田千恵子

キュートな句である。しかし、苺を題材にしても決して甘ったるくはなっていない。その加減が気持ちよい。しらばっくれる苺…あ、あたし苺じゃないですから、ぷちぷち。ごまかしてもダメダメ、つぶのつぶまで、どうみたって苺、バレバレなんだから。かわいいけど、おかしい。


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# by nezimakikukai | 2018-05-08 23:27 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

第149回ねじまき句会

題詠 「第」

1. おーい雲第二第三つぎ戻る/青砥和子

2. 君次第線一本をもたされる/米山明日歌

(2票:丸山 猫田)

3. ラジオ体操第二までする町工場/早川柚香

(8票:青砥 犬山 北原 大嶽 岡谷 妹尾 猫田 八上)

4. さあ第九タイコツチノコカンナ持て/丸山 進

(4票:青砥 中川 岡谷 米山)

5. 木曜の物語第五十二話/猫田千恵子

(4票:なかはら 瀧村 安藤 八上)

6. 第三の目はいつまでもクローバー/安藤なみ

(2票:魚澄 青砥)

7. たんぽぽの笑いをとって第一位/大嶽春水

(4票:なかはら 魚澄 三好 猫田)

8. 木魚聞き次第に息を吹き返す/三好光明

(3票:北原 中川 丹下)

9. 第一関節からサクラにとける/犬山高木

(4票:丸山 中川 早川 妹尾)

10.及第点おおきに我ら葱坊主/中川喜代子

(5票:瀧村 魚澄 北原 大嶽 米山)

11.転がせば 第第第九出るダイス/ 岡谷 樹

(2票:犬山 猫田)

12.菫から新緑までの式次第/なかはられいこ

(7票:瀧村 安藤 北原 早川 三好 岡谷 八上)

13.満開を過ぎて次第に穏やかに/丹下純

14.第三者委員会やら黄砂やら/瀧村小奈生

(6票:なかはら 安藤 早川 大嶽 岡谷 妹尾)

15.第3号被保険者の耳に雨/八上桐子

(7票:なかはら 丸山 安藤 中川 早川 三好 米山)

16.やめとけと第六感が言うてはる/北原おさ虫

(4票:瀧村 魚澄 犬山 丹下)

17.練乳のいちご次第に羽化の午/妹尾凛

(3票:丸山 丹下 三好)

18.しろうさぎ第三者委員会より帰る/魚澄秋来

(7票:青砥 犬山 丹下 大嶽 妹尾 八上 米山)

雑詠

1. 美しい骨格のパセリの仕草/妹尾凛

(7票:瀧村 犬山 丹下 中川 大嶽 八上 米山)

2. 花魁のようにぞろぞろ花筏/北原おさ虫

(4票:魚澄 青砥 丹下 早川)

3. 葉桜の話半分でも多め/瀧村小奈生

(8票:なかはら 丸山 安藤 大嶽 岡谷 妹尾 八上 米山)

4. 背中から脱皮の途中新入社員/丹下純

(2票:魚澄 犬山)

5. 珈琲を持って座ればここもカフェ/魚澄秋来

(3票:安藤 北原 三好)

6. どこで折り返せば届くのかさくら/なかはられいこ

(2票:丸山 青砥)

7. つめたいのは春か腸内フローラ/八上桐子

(6票:犬山 早川 大嶽 岡谷 妹尾 猫田)

8. 春の雪 ロールキャベツの具になるの/岡谷 樹

(2票:猫田 米山)

9. おとりかえ明日は出来ます五月晴れ/中川喜代子

(1票:魚澄)

10.本日の売りは小女子ひとつかみ/安藤なみ 

(2票:青砥 三好)

11.モクレン散ったりトランペット鳴ったり/犬山高木

10票:なかはら 瀧村 青砥 安藤 丹下 中川 早川 三好 猫田 八上)

12.壊れても部品交換できぬ膝/三好光明

13.蜜蜂のあこがれ 英国ガーデン/大嶽春水

(1票:北原)

14.夢は立ち止まる海の手前あたり/米山明日歌

(3票:なかはら 丸山 中川)

15.のぼらない月が欄干撫でてゆく/青砥和子

(5票:丸山 魚澄 丹下 岡谷 猫田)

16.しらばっくれてもつぶつぶまで苺/猫田千恵子

11票:なかはら 瀧村 北原 中川 早川 三好 大嶽 岡谷 妹尾 八上 米山)

17.胡蝶蘭分類すれば忍者系/丸山 進

(5票:瀧村 安藤 犬山 北原 妹尾)

18.ネイルには梨地クールな小宇宙/早川柚香


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# by nezimakikukai | 2018-05-04 21:37 | 句会結果報告 | Comments(0)

第1回「あつたの杜」連句まつり

とき  平成30年4月27日(金) 10時30分~16時
ところ 名古屋市中小企業振興会館(吹上ホール)4F第2会議室
会費  2000円(昼食代含む)

明日、名古屋で連句まつりが行われます。連句発祥の地名古屋で、連句という文芸を伝えていこうという活動が始動しました。連句まつりは、今回が初めての開催となりますが、宮中学(熱田区)での連句の授業は今年が3年目となります。光村図書の『国語1』に初めて「連句」という言葉が登場しました。短歌・俳句は、現代の作品も含めて中学校の国語の教科書に取り上げられています。川柳だけが、なぜか江戸時代の作品に限られていて変な感じだったのですが、連句は全く取り上げられることさえありませんでした。それを考えると、ずいぶん大きな変化ではあります。名古屋での第1回連句まつりは明日。急に思い立つことがおありでしたら、飛び入りでもかまいませんので、遊びにお越しください。

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# by nezimakikukai | 2018-04-26 18:41 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

川柳作家ベストコレクション『笹田かなえ』

そのつもりなくてもちょっとかたつむり
花束で殴るだなんてアルデンテ
この先はきっと無意味にステンレス

とにかくリズムがよくて楽しい。わらべ歌の歌詞だとか早口言葉とか呪文とかみたいに。けれども、言葉は突拍子もない脈絡で並んでいるわけではなく、「かたつむり」のダンマリ感や、「アルデンテ」の固さ、「ステンレス」のとりつくしまのない無機質さなど、わずかなところで現実とつながっていて、浸透力の高いナノ化粧水のように、すっと馴染んで吸収される。かなえさんの言葉の持つ不思議な力である。

ほっといてほしいところにサイゼリヤ

これも「サイゼリヤ」の選択が素敵。「いらないよ、サイゼリヤ」と「あってよかった、サイゼリヤ」の共存している感覚がピッタリだ。ほっといてほしいところに踏み込んでくれる人のやさしさなどということまで考えてしまう。

アルカイックスマイル 秋が深くなる

aで始まりruで終わる10音と8音の組み合わせ。アルカイックスマイルとは深まる秋のような笑みなのか。まあ、ウルトラマンかもしれないけど。ウルトラマンと秋か・・・かなえさんの言葉から自由にひろがるとりとめもないあれやこれや。そのあれやこれやをプレゼントしてくれるのが笹田かなえさんの川柳のように思われる。

やわらかい場所から暮れる春の暮れ
暗かったことだけ思い出す真昼

やわらかさと暗さに、かなえさんは敏感に反応する。それは、わたしたちに親しいやわらかさと暗さである。

六条御息所的今夜

六条御息所の漆黒の長い髪のような黒洞洞たるたる夜。今夜の闇は六条御息所的なのだ。どこまでも続く暗くてやわらかい闇である。

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# by nezimakikukai | 2018-04-24 13:21 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

川柳作家ベストコレクション『守田啓子』

広がってゆくのあたしのほころびが
交番に届くわたしの欠けたとこ
さらされるあたしのもふもふした部分
綿棒で哀しいとこを触られる
とんがりがあるかときどき触れてみる

かなしいことやうれしいこと、しっくりこない感じや喪失感。それらを身体的な感覚として受け止めたことろから生まれてくる川柳である。それは、とてもシリアスなものであるはずだが、、守田敬子さんの句からは深刻さやジメジメしたものは感じられない。「交番に届く」や「綿棒で」、あるいは「もふもふした部分」という言葉の装置をくぐることで、確かな共感を呼び起こしつつ、読む者をくすっと笑わせてくれるからである。

こんなとき線香花火持たされる

「こんなとき」、「線香花火」、「持たされる」の「れる」の関係が絶妙。「こんなとき持たされる」ものとしての線香花火、「線香花火持たされる」のがこんなときであったということ、そして自らの意志ではなく「持たされる」という受け身であること。余儀なく、しかもどこか明るい。繊細だがへこたれない生命力を感じる。

他人にも自分にもこんにゃくである

と啓子さんは言うのだが。

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# by nezimakikukai | 2018-04-14 21:16 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

川柳作家ベストコレクション『ひとり静』

句集のそこいらじゅうから静さんの独り言が聞こえてくる。

 お邪魔にはならないポだと思います

邪魔にならない「ポ」って何なのよと尋ねたら、「えーっ!ポはポやん」と真っ直ぐな眼差しが返ってきそう。ついつい、そんなポがあるような気がしてしまう。「お邪魔にはならない」のは「ポ」でしか実感できないところに、この句のもつ力がある。

 はっきりといいますかもめ足りません

「かもめ足りません」なんて「はっきりといいます」というようなことでもないだろう。第一、かもめが足りない状況ってどんな状況なのか。どうでもいいことだけど、わかる気がするのがこわい。

 支持しますゴロンゴロンとくる楕円

「くる」かどうかは知らないが、確かに楕円が転がれば「ゴロンゴロン」である。でも、支持するの?いや、静さんは間違いなく支持している。

よくわからないままに、読む者の心の端くれをつかまえる独り言の群れである。

 忸怩たるものでへこんでいる座布団

「忸怩」は ji-ku-ji 。座布団は ji-ku-ji を秘め、静さんは ji-ku-ji とつぶやく。

 雨だれもわたしも数えられている

数えてもらえれば上々か。雨だれを数えるのは、「わたし」。その「わたし」を数えるのは誰なのか。

さびしさのようなもの、かなしみのようなもの、痛みのようなもの。静さんの句集を読んでいると、その「ようなもの」と一緒に生きていくのが自然なのだと素直に思うことができる。


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# by nezimakikukai | 2018-04-03 22:48 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

川柳作家ベストコレクション『奈良一艘』

青森の奈良さんには一度お目にかかったことがある。何年か前の青森の6月だったと思う。ひんやりした朝の空気とか、ライラックの香りとかがよみがえるのを感じながら句集を開いた。

葉桜のざわつく指は捨てなさい
ぜんまいのやがてくしゃくしゃな黄昏

「の」の使い方に注目したい。「葉桜のように」「ぜんまいのように」と比喩の意味で使われる古語的な用法だととらえてはどうだろうか。「の」が全体のリズムを整えているように思われる。

サイレンが過ぎたら続き教えましょう
水音のする引き出しから閉める

サイレンに導かれる静寂。引き出しが閉められると消える水音。確かに存在した音より、その音が消えたあとの静寂に引き込まれる句だ。

ギルティオアノットギルティ セロリが好きだ

アメリカ映画で聞いたことのある台詞だ。独特の抑揚とよく通る声。「セロリが好きだ」との落差が適度である。好きだと宣言するものとしてのセロリもちょうどよい感じがする。

鮭茶漬けちちをころしてきたところ

鮭茶漬けをかっこむ音がする。殺人のあとに鮭茶漬けは似合うかもしれない。「ちちをころしてきたところ」とひらがな表記であり、実際に殺すのではないと読むべきだろうから、父と息子の葛藤なのだろうか。そういえば永谷園のお茶漬けのCMの男の人は誰だったんだろう。きっとあのイメージが重なっているのだと思う。

第一章 阿阿阿
第二章 吽吽吽

奈良一艘さんの句集のあちらこちらから音が聞こえてくる。喧騒と静寂。まず音が耳から取り入れられる。インプットされた音に反応して言葉が紡ぎ出され句となる。小気味よいリズムと発想の飛躍がそこにある。 

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# by nezimakikukai | 2018-03-29 23:29 | Comments(0)

第148回ねじまき句会

題詠「笑」

1. 春の野にそよぎフェルマータで笑う/猫田千恵子

(4票:犬山 大嶽 妹尾 丹下)

2. 爪跡に笑い転げる竹の馬/三好光明

(3票:岡谷 大嶽 米山)

3. 一斉に微笑み隊があくびする/丸山 進

(7票:岡谷 中川 猫田 早川 大嶽 水野 八上)

4. 笑わない自信があった葱買った/二村典子

(7票:なかはら 丸山 瀧村 青砥 岡谷 犬山 八上)

5. 膝笑う横隔膜を長くして/安藤なみ

(1票:早川)

6. おもいきり笑ったり種飛ばしたり/瀧村小奈生

(7票:二村 安藤 中川 早川 妹尾 三好 米山)

7. 笑点の座布団下の活断層/中川喜代子

(2票:犬山 八上)

8. 笑ったら負けよふわりと花かつお/なかはられいこ

(7票:瀧村 二村 青砥 安藤 猫田 早川 三好)

9. よく笑う娘が島を飛び越える/青砥和子

(4票:丸山 猫田 妹尾 水野)

10.十六茶 十三までは笑ってる/岡谷 樹

(6票:なかはら 丸山 瀧村 二村 青砥 安藤)

11.あやされて笑くぼ浮かべる春キャベツ/早川柚香

(1票:水野)

12.なんてことない日くるくる笑う水/妹尾 凛

(7票:なかはら 瀧村 中川 丹下 三好 八上 米山)

13.笑美ちゃんとガッハッハッハ、ワッハッハ/大嶽春水

14.冷ややっこふくみ笑いをみてしまう/米山明日歌

(5票:丸山 青砥 猫田 妹尾 水野)

15.笑えないアセロラドリンクの素性/犬山高木

(3票:安藤 岡谷 米山)

16.片言のウグイス笑顔引き出して/水野奈江子

(1票:丹下)

17.うさぎらが歯見せて笑っとるぞ、おい/八上桐子

(7票:なかはら 二村 中川 犬山 大嶽 丹下 三好)

雑詠

1. 熱っぽい体で受ける月食の赤/中川喜代子

(1票:大嶽)

2. 仕上げにはタイトル付けて朝ごはん/早川柚香

(3票:丸山 二村 水野)

3. 葬送の手足はペンギンの散歩/安藤なみ 

(2票:丹下 八上)

4.引きずっているのに無音 春おぼろ/岡谷

(4票:瀧村 安藤 中川 猫田)

5.悲しみに扉を開ける非常口/三好光明

6.時報聞くとき水平線はるか/猫田千恵子

(5票:丸山 瀧村 青砥 中川 水野)

7.手のひらの静かな丘の複葉機/妹尾 凛

9票:なかはら 瀧村 青砥 岡谷 猫田 早川 犬山 三好 米山)

8.青二才 草木のごと手ェのばす/大嶽春水

9.くさめしてザルツブルクの霧深し/犬山高木

(2票:妹尾 三好)

10.オープンカー三途の川の検問所/水野奈江子

(1票:岡谷)

11.死がわたしをおもいはじめているミモザ/八上桐子

(5票:安藤 岡谷 丹下 三好 米山)

12.別別の花の名前でしめくくる/米山明日歌

(6票:丸山 安藤 中川 早川 丹下 水野)

13.かきまぜるんじゃないヘクトパスカルな夜/瀧村小奈生

(9票:なかはら 丸山 二村 青砥 岡谷 猫田 早川 犬山 妹尾)

14.私たちのたちがたちまち逃げ回る/丸山 進

(8票:なかはら 二村 安藤 早川 犬山 大嶽 八上 米山)

15.通常より大きめな句読点/二村典子

(3票:大嶽 丹下 米山)

16.比べてはいけない月とアルマジロ/青砥和子

(5票:なかはら 猫田 大嶽 妹尾 八上)

17.木曽川がなんども肩をすべりおち/なかはられいこ

(9票:瀧村 二村 青砥 中川 犬山 妹尾 水野 三好 八上)


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# by nezimakikukai | 2018-03-29 22:13 | 句会結果報告 | Comments(0)

川柳作家ベストコレクション『猫田千恵子』

新葉館出版の川柳作家ベストコレクションが元気である。200人の作家の作品集が集結するらしい。「果てしない時空に白いシャツを干す」の猫田千恵子さんは『川柳ねじまき』の参加メンバーである。ふだん句会で猫田さんの句は読んでいるけれど、句集というかたちとボリュームでで向き合えることが、とても楽しかった。改めて思う。猫田さんは多面体である。いろんな猫田さんが、いろんな手つきで、いろんな顔をして書いている。抒情派詩人、チョイ意地悪なリアリスト、ぼんやりしたうっかり者、技巧に長けた表現者、天然の夢想家。どの顔で書いた句も、まぎれもなく猫田さんだと信じられるところが好きだ。

夜が深まるトンネルを抜けるたび
三角のそこは死守するべきところ
真剣に遊ぶ背中が割れてくる
ガチャガチャを回すと転がり出る少女
阿と吽の間が離れすぎている
モッツァレラチーズに軽く絡まれる

きょうの私のお気に入りはこの句。

神さまの言葉くまなくポスティング

ポスティングだから当然「くまなく」やらないと叱られちゃったりするのだろうけど、ちょっと意地悪な視線がとても気持ちいい。

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# by nezimakikukai | 2018-03-24 21:47 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

今もって竹は不服にござります   中川喜代子

題詠「竹」の圧倒的最高点句。「今もって」なのだ。意味ではなく、この言葉の持つ味わいは他の言葉に代え難い。「ござります」という特殊な語に嫌味が感じられないのは、「今もって」の効用だろう。「今もって不服にござります」という恨みも、真摯であって重くない。そもそも「竹」と「不服」の取り合わせがおもしろい。竹は不服など言いそうにないから。竹を割ったような性格なのだし、竹林の光は何といっても美しい。薮になら不服もあるかもしれないが、竹と不服は遠い。しかし、この17音は竹にだって不服があって然るべきだということを穏やかに納得させてしまう。不思議な説得力を持つのである。一読したときから、わたしは「竹」にしゃきっとしたお婆さんの姿を重ね、お婆さんの声を聞いていた。太宰治の子守りの「たけ」のイメージを気づかずに重ねていたのかもしれないと、ふと思い当たった。
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# by nezimakikukai | 2018-03-13 22:12 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

「おにぎりの定型」のこと。

飯島章友さんの「おにぎりの定型」がずっと気にかかっている。昨年の9月に発行された『川柳サイド』に掲載された連作である。音数の並びがひとつの演出となっている。7、7、9、5・7、5・7、7・5、7・7、7・7、7・7と並ぶ。7音から9音をはさんで5・7へ。さらに7・5をはさんで7・7へと移行する。それぞれの句に音韻の仕掛けもほどこされていて音楽を思わせる。そして、いよいよ5・7・5の章に入っていく。17音の定型の句が18句。最後は次の3句である。
 地球時代から継ぎ足したタレである
 今日未明、首のつけねを曲がり切れずに
 お、おにぎりの、の、のりがこわいんだなプツン
「地球時代から/継ぎ足した/タレである」は、やや変則だが違和感はない。「今日未明、首のつけねを曲がり切れずに」はキョウミメイ(6音)に読点が付されているが、正統な5・7・5のリズムを刻んでいると言って差し支えないと思う。「お、おにぎりの、/の、のりが/こわいんだなプツン」は、7・5・7のリズムで読んだ。全30句を一気に読むと何とも言えない音の余韻が残る。音楽を聴き終えた後のような感触。この不思議な感覚が気になってずっと宿題のように「おにぎりの定型」を持ち歩いている。
 クレーンの上半分はジュラ紀です
 ぬりたてのみえないなので座れない
 非常口マークの足にすがりつく
お気に入りの句たちをちらちらと眺めながら、連作全体がつくりあげる世界がそれ以上に気になって仕方ないのである。
 
 

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# by nezimakikukai | 2018-03-06 22:57 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)



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