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月刊 ★ ねじまき 

アイスクリン

『川柳木馬』第160号が届いた。

アイスクリン自分がアホと思う日に   岡林裕子

あ、アイスクリン!さすが高知!とときめいたあとで、ふと思った。こういう句が川柳の出発点なのかも、と。生活という現実の中の「自分」と、現実を離れて自由になれる「自分」をつなぐ言葉が、この句における「アイスクリン」である。自分のことを「アホ」と思った日はどんな日だったのだろう。へこたれてぺしゃんこの日だった?泣くに泣けないほどのアホさ加減に呆れていたとか?しゃりしゃりとしてやさしい甘さの「アイスクリン」を食べたら、なんだか気持ちが明るくなったのだろうか。いや、「アイスクリン」とつぶやいてみただけかもしれない。唱えるだけでもじゅうぶんに元気が出る効果のありそうな単語だ。こういうとき「アイスクリーム」と「アイスクリン」には大きな違いがある。もちろん、高知県民以外だとある一定の年齢以上の人にしか、この郷愁を含んだニュアンスは伝わらないかもしれないが、それでも「クリン」の音は何かを伝えそうだ。「アイスクリン」を見つけて五七五にすることって、素敵なことだなあと改めて思う。この句を読んだ別の「アホ」な人が、「アイスクリン」という呪文を手に入れることになるのも素敵だ。川柳を書くことの基本形みたいなものを感じさせてくれる句だと思った。

# by nezimakikukai | 2019-05-21 23:10 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

お祝い吟行会!

第23回えひめ俵口全国連句大会で、二村典子・なかはられいこ・瀧村小奈生で巻いた歌仙「草石蚕」の巻が南海放送賞をいただいた。というわけで、10連休終盤の5月4日に3人でお祝い吟行会をした。久屋大通公園あたりの予定だったのだが、到着してみると、久屋大通公園は全面的に工事中!あの…あれ…と動揺していると栄オアシスの前のバス停にバスが停車。「鶴舞公園を通って行くみたい」「じゃあ、目的地変更」とバスに乗り込み、最後部座席に三人並んで着席。連休中にもかかわらず、わたしたちを含め乗客は4人。名古屋市営バスの運営が赤字であることを改めて実感した。鶴舞公園は思いのほか広く、予想通りに人出は多く、日差しはちょっと痛いくらいに熱く、へとへとになりながら各自20句を提出。その中から、瀧村小奈生3句選で。

(なかはられいこ)
影踏めばぽぽぽぽぽぽとなくみどり
鏡花からとおくあかるい菖蒲池
なにかしら羽持つものが今日の王

(二村典子)
サバ缶を棚の奥から夏立つ日
鳩をどこから出そう初夏の
青葉風そことあそこは押さえてて

(瀧村小奈生)
首筋に鳩は五月の匂いつけ
バタくさい綿毛やなあと父が言う
チャイニーズシューシューもれ出づるドトール

ねじまき句会も5月は吟行会!
連休が終わっても楽しいことは尽きないのである。

# by nezimakikukai | 2019-05-07 12:58 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

平成から令和へ

160回句会では、題詠と雑詠で1句ずつ「平成」の句と「令和」の句が出ました。時宜を得て過不足なく。

雑巾十枚で平成をしめる        米山明日歌

音符に帆かけて令和へファンファーレ  安藤なみ

令和最初の句会は第161回で、吟行をします。いい感じです。

# by nezimakikukai | 2019-05-01 10:59 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

第160回ねじまき句会

題詠「帆」

1  帆をあげて明日バスコダガマになる/北原おさ虫

(6票:丸山 青砥 犬山 猫田 黒川 岡谷)

2  帆掛屋の潮焼け顔の昼の酒/早川柚香

(1票:北原)

3  音符に帆かけて令和へファンファーレ/安藤なみ

(7票:丸山 青砥 北原 中川 猫田 早川 岡谷)

4  御守りに真帆と片帆を刺繍して/三好光明

(6票:青砥 犬山 猫田 早川 黒川 米山)

5  帆ははらむ風よりちょっとよいものも/瀧村小奈生

(4票:北原 中川 三好 八上)

6  千年の風やわらかに帆ははらむ/猫田千恵子

(2票:北原 黒川)

7  かなしみとなかよし帆影からの波/妹尾凛

(4票:瀧村 安藤 櫻井 岡谷)

8  ドローンに綿毛メロンに帆かけ舟 岡谷

(2票:櫻井 妹尾)

9  白い帆を立てるよう腕吊っている/八上桐子

(3票:安藤 中川 妹尾)

10 帆が鳴ってるよ付箋をつけた春の旅/米山明日歌

(9票:丸山 安藤 中川 猫田 早川 黒川 櫻井 三好 妹尾)

11 旅に出る帆が付く人を探すため/丸山進

(2票:櫻井 米山)

12 帆立食む月をやさしく持ち上げて/青砥和子

(6票:丸山 犬山 三好 岡谷 米山 八上)

13 おホホホホおホホホホホホと帆立貝/櫻井誠

(6票:瀧村 青砥 犬山 妹尾 八上 米山)

14 明け方の女児誕生の帆立貝/中川喜代子

(4票:瀧村 安藤 早川 八上)

15 一澤帆布製のバッグを捨てた/黒川利一

16 逸脱するはなびら火照った帆布/犬山高木

(2票:瀧村 三好)

雑詠

1  右足にさくら前線湿布薬/黒川利一

(6票:瀧村 犬山 早川 妹尾 八上 米山)

2  負の連鎖カクメイテキニチルサクラ/犬山高木

(6票:丸山 青砥 中川 黒川 岡谷 妹尾)

3  桜蘂ぎっしり敷いた巣に還る/櫻井誠

(2票:青砥 中川)

4  渋滞に似合うビートルズのリズム/猫田千恵子

(1票:丸山)

5  密書来る春の嵐を連れてくる/中川喜代子

(2票:安藤 北原)

6  フライパンの前で煙を上げる朝/早川柚香

(3票:瀧村 猫田 三好)

7  絶望にもれなくついて来る孤独/三好光明

(1票:黒川)

8  上書きの仕方忘れた脳の皺/北原おさ虫

(2票:丸山 櫻井)

9  起床前三十秒の創世記/安藤なみ

(5票:丸山 犬山 北原 妹尾 八上)

10 冗談が出たよブラックホールから/丸山進

(2票:安藤 三好)

11 本日付でファブリーズな関係に/瀧村小奈生

(6票:犬山 中川 櫻井 岡谷 妹尾 米山)

12 お申し出を受け入れバケツはいっぱい/青砥和子

(6票:瀧村 安藤 早川 三好 櫻井 八上)

13 雑巾十枚で平成をしめる/米山明日歌

(9票:青砥 安藤 北原 中川 猫田 黒川 三好 岡谷 八上)

14 一目盛り計って今日の海を飲む/岡谷樹

(7票:瀧村 青砥 北原 猫田 黒川 櫻井 米山)

15 おしまいの春のりぼんを巻くところ/妹尾凛

(4票:犬山 早川 岡谷 米山)

16 三分咲き このつづきは有料です/八上桐子

(2票:猫田 早川)


# by nezimakikukai | 2019-04-30 23:57 | 句会結果報告 | Comments(0)

はがきが届く

西原天気さんと笠井亞子さんから時折りうつくしいはがきが届く。きょうポストに入っていたのは春の色。今さらのように、はがきが届くって素敵なことだなと思う。この気持ちのよい距離感を持った通信手段を現代社会が手放しつつあることは本当に惜しまれる。決して押しつけがましくないのに、確実に届く。届くことがうれしい。手に取ることがあたたかい。「ありがとうございます」とお返事をすればよいのだけれど、何となく照れくさいようでそのままに過ぎている。でもきっとはがきだから許される。と、勝手に信じている。

大田区にあるもつちりとした部分   西原天気
萵苣はがされてゆく夜のとばりかな  笠井亞子

# by nezimakikukai | 2019-04-25 17:08 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

ねじまき連句会はじめました。

『川柳ねじまき』には、第3号から「ねじまき連句」のページがある。1年に1回か2回は連句を巻いてきたのだが、今年から定期的に連句会をスタートさせた。会場がねじまき句会と同じイーブル名古屋なので、名前もねじまき連句会。言ってみれば、川柳ねじまき句会の部活動みたいなものである。とってもゆるい部活なので、好きなときに好きな人が集まって連句を巻ける場という感覚だ。どこからでも、どなたでもゲスト大歓迎。楽しく遊べる場になればと願うのみである。2019年度は、3月3日に半歌仙、4月7日に二十韻を巻いた。次回は6月2日(日)で短歌行を予定している。今年は、その後、8月4日(日)、10月6日(日)、12月8日(日)で、いずれも午後1時から4時30分まで。参加費無料。お茶は各自持参、おやつは適当に持ち寄り。いつでも遊びにお越しください。参加希望の方は、前日までに瀧村小奈生まで。naokobst@k4.dion.ne.jp
# by nezimakikukai | 2019-04-16 20:24 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

第159回ねじまき句会・雑詠より

雑詠の最高得点は9点で、2句。

のりたまの黄色くらいの春にする   早川柚香

ご存知、丸美屋ののりたまである。昭和を生きてきた人で、知らない人はきっといない。だからみんながその「黄色」を知っている。菜の花の黄色みたいにクリーンで明るい黄色ではない。湿り気を帯びているようないないようなモゴッとした舌触りもすぐにわかる。春は黄色。でも、「のりたまの黄色くらい」という謙虚さがいい。期待しすぎないよう、はしゃぎすぎないように自重しているのだろうか。大人だなと思う。よくも悪くも。この微妙な感じは大人でなくちゃわからない。

鍋に豆浸す無呼吸症候群   八上桐子

豆は煮る前にしっかり水に浸す。ずーっと水に浸されていたら、たしかに呼吸できないよねと思う。無呼吸症候群って、あんな感じなのか。鍋に豆を浸すのもたいては夜なので、無呼吸症候群に悩まされている人と豆とが同じ時間を共有していることになる。わたしはあの豆だった。あなたはあの豆なのね。でも、豆は水に浸すことでおいしく煮ることができるのに、無呼吸症候群は生活の質を低下させてしまいそうで随分ちがう。この間、花豆を煮るのに、3日くらい水に浸した。おいしくきれいに煮えたけど…。

# by nezimakikukai | 2019-04-09 13:49 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

第159回ねじまき句会・題詠「布」より

お布団になりたい猫と空とぼく   なかはられいこ

題詠の最高点句2句のうちの1句。「猫と空」なんてあまりにも気持ちよすぎて、わたしは票を入れていない。「お布団」だから、それも当然なのだけれど、自分の素直な気持ちに逆らってしまったのだろうか。好きな手触りのときに鳴る警戒警報のせいかもしれない。実は句会を欠席したので、どのような選句評が出たのか知らない。これこそ、実況を聞きたいところである。逆選があったら、この句かなあと思う1句だ。こんな無防備な句をつくることをすっかり忘れていたような気がして、いろいろ考えさせられる。ところで、「お布団になりたい」のは、「猫」だけ?あるいは「猫と空とぼく」?わたしは、特に根拠はないけれど後者で読んだ。みんな、お布団!

春のジレンマは不織布のように   櫻井誠

欠席選句をしたわたしのイチ押し句。dilemmaー二つの相反する事柄の板挟みになること。「春のジレンマ」がぴったりだ。他の季節では置き換えられない。むずむずとする感じもそうだし、新年度という現実的な状況をふまえてもすんなり納得できる。それが「不織布」に喩えられる。不織布は繊維を織っていないシート状の布。熱・機械的または化学的な作用によって布にされたもの。それは、布なのか?と思うところがジレンマにつながる。「布」という題が生み出した素敵な句だと思う。

# by nezimakikukai | 2019-04-02 17:39 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

第159回ねじまき句会

題詠「布」

1  露地奥の麻布十番からめ組/中川喜代子

(6票:丸山 青砥 岡谷 妹尾 猫田 三好)

2  東京の麻布に一反木綿の和/安藤なみ

3  目的の分からぬ布を着け歩く/丸山進

(3票:犬山 櫻井 三好)

4  何にでもなれるさらりと新(さら)の布/早川柚香

(3票:安藤 黒川 猫田)

5  祭壇から童謡ちいさすぎる布/犬山高木

(4票:岡谷 中川 八上 櫻井)

6  空間が歪む手品師の布の下/猫田千恵子

(3票:丸山 早川 瀧村)

7  春のジレンマは不織布のように/櫻井誠

(7票:なかはら 安藤 中川 黒川 八上 瀧村 三好)

8  春匂う帆布との会話塀の中/三好光明

1票:櫻井)

9  帆布しなる惚けた顔のすぐ横で/青砥和子

10 豆絞り布巾になって空を拭く/黒川利一

(7票:なかはら 丸山 犬山 八上 瀧村 妹尾 猫田)

11 復興に副え木当て布アゲハ蝶/岡谷樹

(3票:安藤 早川 黒川)

12 メツボウが口グセだった電気毛布/八上桐子

(1票:なかはら)

13 お布団になりたい猫と空とぼく/なかはられいこ

(9票:丸山 青砥 犬山 岡谷 中川 黒川 櫻井 妹尾 猫田)

14 不器用な春眠の昆布の粘度/妹尾凛

(4票:青砥 中川 早川 瀧村)

15 行き先の異なる風の頒布会/瀧村小奈生

(9票:なかはら 青砥 安藤 犬山 岡谷 早川 八上 妹尾 三好)

雑詠

1  のりたまの黄色くらいの春にする/早川柚香

(9票:なかはら 安藤 犬山 岡谷 中川 黒川 瀧村 妹尾 猫田)

2  「春だから」大切な事は二度言う/櫻井誠

(7票:なかはら 青砥 安藤 中川 八上 瀧村 三好)

3  春は名のみとトドの耳たぶに触れ/瀧村小奈生

(8票:なかはら 丸山 青砥 犬山 岡谷 早川 八上 猫田)

4  反対の反対に目は閉じる夜/青砥和子

5  ちぐはぐでしかも正しいニューシネマ/安藤なみ

(2票:犬山 櫻井)

6  朝の水じゃがいもの芽はやさしくて/妹尾凛

(4票:早川 黒川 櫻井 三好)

7  鍋に豆浸す無呼吸症候群/八上桐子

(9票:なかはら 丸山 青砥 岡谷 中川 瀧村 妹尾 猫田 三好)

8  初夢はまたゴキブリの恩返し/丸山進

9  遡るまで哀しみをぶら下げる/岡谷樹

(1票:丸山)

10 雪の果て四十一度の熱の刑/黒川利一

(2票:安藤 櫻井)

11 解体する海黙ったままの袋/犬山高木

(6票:丸山 青砥 岡谷 黒川 八上 妹尾)

12 欄干の擬宝珠に貼り付くオノマトペ/中川喜代子

(1票:妹尾)

13 吊り革と運河はとても深い仲/なかはられいこ

(5票:黒川 八上 瀧村 猫田 三好)

14 古民家は野生化なのか楽園か/三好光明

(3票:安藤 早川 櫻井)

15 あぶらかたぶらドンキ化するピアゴ/猫田千恵子

(3票:犬山 中川 早川)


# by nezimakikukai | 2019-03-27 20:20 | 句会結果報告 | Comments(0)

そこそこの幽霊になりそこいらに  広瀬ちえみ

最近は、ずっとこの「幽霊」にとりつかれている。バス停でバスを待っているときに「そこそこの・・・」、ふっと箸をとめた瞬間に「そこそこの・・・」、髪を洗いながら「そこそこの・・・」。理由はまったくわからない。なぜ突然立ち現れたのか。あまりに親しくそばにいることになったので、改めてこの句を眺めてみる。これは、どこからどうみても川柳だぞと思う。季語も切れ字もないから俳句ではないなどという話ではない。もっと根本的なところで川柳が匂う。もちろん、これはいい匂い。幽霊がちっともこわくなくて親近感を覚えてしまうところも、自由な空気感も、いろいろ。ニンジンをトントン刻みながら思うのだ。「そこそこでいいのよ。そこそこの幽霊になって、そこいらにいることにするわ、わたし。そんなもんでしょ。」すんごい説得力だ。なおかつ説教臭くない!天国に行ったりしなくて、幽霊になってそこいらにいちゃっていいのである。たった1句でも、誰かの暮らしの中にぬっと現れて居ついてしまうような句を書いてみたいなあ。
# by nezimakikukai | 2019-03-19 16:04 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

捨ておけ 救えるほどの闇だ   樹萄らき

らきちゃん(会ったこともないのに、馴れ馴れしくてすみません!)の『2018』のタイトルであり、その中の1句でもある。それにしても、「捨ておけ」とは水戸黄門ばりの時代がかった口調だ。「救えるほどの闇」だから放っておいてもだいじょうぶらしい。うっすらと明るい闇を思い浮かべる。だいたい、わたしたちの周りにはこんな闇は山ほどあって、たいていのことはそんなに深刻にならなくても平気なのだと思う。じゃあ、救えないような闇は?それは、アウトだ。だって救えないのだから、残念だけどあきらめるほかない。ということは、どちらの場合でも、わたしたちには、することがないのだ。それはそれで、妙に説得力がある。あ、もしかしたら、救えない闇が相手のときは、黄門様が出てきて助けてくれるかも。それならそれでOKだ。だれかの1句で、こんなふうにいろいろ考えられるって、面白いなあと思う。それにしても、らきちゃんはすごい。毎年ちゃんと自分の1年間の作品をまとめ、通り過ぎたことたちをエッセイにして書き留めて1冊にしているのだから。表紙に葡萄色で印刷された〈樹萄らき〉という名前を眺めながら、自分のいい加減さが恥ずかしくなる。なんとなく、ごめんなさい。
# by nezimakikukai | 2019-03-18 15:15 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

題詠「市」

あいねくらいね海市からとろけだす  妹尾凛

今年のねじまき句会の題は部首「巾」のシリーズである。その第一弾が「市」。その最高点句が掲出句である。モーツアルトのセレナーデ「アイネクライネナハトムジーク」はあまりにも有名だが、最近では米津玄師という選択肢も浮上するらしい。平仮名になっているので「愛ね暗いね」まで想像が及ぶという話も出たが、それはそこはかとなくであって、口にしない程度にとどまるのが私としては好ましく感じられる。題の「市」を「海市」として使うことに惹かれたり、「海市」が蜃気楼であることを知って感動したり(これは俳人には起こらないことだろうが)、読む人の心をひきつける要素がいっぱい詰まった一句だといえそうだ。私は「海市」に「あいねくらいね」が付いた時点で、自分の発想の及ばない世界に惹かれた。自分には思いつきそうにないことを、あたりまえのように見せつけられると、ひれ伏さざるをえない気持ちになるのだ。「とろけだす」に異を唱える意見もあって、それを聞いたときに初めて、自分が最初に何回か口ずさみながら「とろけだす」を気にしていたことを思い出した。それほど、「あいねくらいね」と「海市」の出会いの衝撃が強かったということなのだろう。ある句を選ばなかった理由は、その句を選んだ人も気になっている場合が多い。ここがよかったから、そこには多少目をつぶるということも、是非は別にして起こりやすいことなのかもしれない。


# by nezimakikukai | 2019-03-07 23:04 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)



川柳句会「ねじまき句会」の公式サイトです
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