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月刊 ★ ねじまき 

大賞発表/17人の選者による17題のネット句会

【大賞作品】

 七ってさたまに突風混ざるよね    尾崎良仁


ねじまき句会17周年記念〈17人の選者による17題のネット句会〉の大賞作品が決定しました。

おめでとうございます。

大賞作品決定の経緯については、2022年1月に発行予定の『川柳ねじまき#8』に掲載いたします。

大賞は各選者の特選句17句となかはられいこ選の入選句5句の計22句の中から選出しました。

大賞候補作品22句は下記のとおりです。

 1.縮尺は大坂なおみ分の一       蟹口和枝

 2.洗ったら食べられそうな霜柱     岡村知昭

 3.球根になりたいのなら脱ぎなさい   真島久美子

 4.メルカトル図法の歪み裏は萌野    柳沢望

 5.折れ釘で寺山修司の鼻を描く     むさし

 6.エルニーニョ現象らしい七の段    森本頌

 7.メデューサの画期的頭突きについて  サリサリニャーマ

 8.くうらりと時を刻んでいる秘仏    北村幸子

 9.水無月の無胃魚の腸を噛んでをり   岡 一夏

10.綿100じゃないと有頂天じゃないと  宮井いずみ

11.バナナです種も仕掛けもありません  楢崎進弘

12.目玉品めがけてママのチャリが跳ぶ  風間なごみ

13.匿名という指先に潜む鬼       八木五十八

14.茶漬けから茶漬けへ輪廻転生す    いわさき楊子

15.半身は黄河をくだりシャチとなる   落合魯忠

16.どろどろと流れ出したらもう終わり  松長一歩

17.カメムシにも王位継承権はある    楢崎進弘

18.潜ることみんなに舌を配ること    湊圭伍

19.七ってさたまに突風混ざるよね    尾崎良仁

20.お別れと霜取りはもう自動的     小原由佳

21.きよらかな潜水服の中の水      佐藤りえ

22.裏側で真綿がずっと揺れている    平岡直子


# by nezimakikukai | 2021-09-30 11:02 | Comments(0)

入選・特選の副賞の発送をはじめました/17人の選者による17題のネット句会

入選・特選のみなさまに副賞の発送をはじめました。毎日少しずつ進めていますが、最後に届く方まで2週間くらいかかると思います。お待たせして申し訳ありませんが、少々お時間をください。よろしくお願い申し上げます。大賞の発表が今月末の予定なので、その前にはお手元に届くようにしたいと思います。
# by nezimakikukai | 2021-09-13 22:47 | Comments(0)

17人の選者による17題のネット句会~特選句・入選句の発表にあたって~

 17人の選者が17題をひとつずつ担当して入選句5句と特選句1句を選びました。また、なかはられいこが全投句1996句の中から5句の入選句を選びました。

 各題の入選句の作者には『川柳ねじまき』#27をお贈りいたします。さらに各題の特選句となかはられいこ選の入選5句の作者には、それ以外にねじまき句会の定番おやつ、名古屋銘菓「さくさく日記」をプレゼントさせていただきます。就きましては、入選・特選の皆様に確認のメールをお送りいたしますので、メールが届きましたら返信で御住所をお知らせくださいますようお願い申し上げます。

 現在ねじまき句会では、各題の特選句17となかはられいこ選の入選句5の計22句の中から大賞1句を選ぶ過程に入っております。大賞の発表は9月30日になります。楽しみにお待ちください。


# by nezimakikukai | 2021-08-31 00:18 | Comments(2)

17人の選者による17題のネット句会~結果発表~

●縮

青砥和子選

特選

縮尺は大坂なおみ分の一  蟹口和枝

入選

セーターが縮んだ夜が長くなった  笹田かなえ

縮んでからとても大事にされている  小原由佳

家族寓話でしょう縮んでいるでしょう  はるのあきこ

越境は森が縮んでいるうちに  兵頭全郎

ご両家が切手サイズにまで縮む  平岡直子

選評

分母が「大坂なおみ」だなんて、いったい何の縮尺だろうか。大坂なおみは時の人。人種差別、ネガティブメディアなどに発信をしている。縮尺によっては、実際に存在するのに消えてしまう物すらある。彼女を通して見えてくる物、隠れてしまう物を考えてしまった。秀逸な時事吟。

●霜

二村典子選

特選

洗ったら食べられそうな霜柱  岡村知昭

入選

霜取り中につき主文後回し  月波与生

どうしよう猫の手がああ霜だらけ  林あかり

霜月のデータベースを踏みしだく  沢茱萸

お別れと霜取りはもう自動的  小原由佳

鑑識が見落とす霜のつき具合  加藤当白

選評

土が混ざっているけれど、洗ったら食べられそうなほど清らかでおいしそうな霜柱。けれど洗ったら解けて壊れてしまうから食べられない霜柱。ほのぼのとした稚気とその稚気に浸りきれないもの悲しさも感じられて、よきかな。

●根

犬山高木選

特選

球根になりたいのなら脱ぎなさい  真島久美子

入選

昨日のことを根にもっているカレーパン  楢崎進弘

輪唱が止まる垣根の曲り角  佐野由利子

何の根か分からず伸びて枕もと  湊圭伍

根っからの軟膏である文庫本  うっかり

根暗から手紙のようなガムが来る  水城鉄茶

選評

球根になりたい自分(その発想が面白い)。その球根とは何なのか。自分でもわからないからいっそ脱いでみるしかない。一見ナンセンスな感じの物言いであるが自分に向かって何かの決断を促しているかのようである。

●図

黒川利一選

特選

メルカトル図法の歪み裏は萌野  柳沢望

入選

涅槃図の隅にエクモが置いてある  宮井いずみ

たこ焼きの舟に乗ってる図書委員  林あかり

図書館に返しそびれたままの月  北村幸子

こいびとはもう地図にない街にいる  笹田かなえ

図面には描いてなかった穴がある  岸井ふさゑ

選評

丸い地球の表面を展開して平面にすれば、メルカトルの世界地図もそうだが、歪は生まれる。だから、地図にあらわせなかった世界があるかもしれない。それは見渡すかぎり草萌えの真みどりが広がる、イーハトーヴだ。

●修

岡谷樹選

特選

折れ釘で寺山修司の鼻を描く  むさし

入選

万葉にパセリ静かな修飾語  西沢葉火

蜘蛛の糸静かな修羅がはじまった  ひとり静

修整後夜は背骨を曲げたまま  小原由佳

秋立つ日みなうす青き修飾語  鷺沼くぬぎ

八月を問う童顔の阿修羅像  徳長怜

選評

修司は、多才な人だったがどこかその才能が鼻についた。折れ釘の角度が、彼の鼻やひねくれたキャラクターを思わせる。溢れる才能は、彼の錆だったのかもしれない。折れ釘、修司の鼻、これ以上良い相性はないのではないか。

●七

中川喜代子選

特選

エルニーニョ現象らしい七の段  森本頌

入選

七難去ってまたもや七味唐辛子  服部誕

七草の秋に執行猶予付く  月波与生

七ってさたまに突風混ざるよね  尾崎良仁

結婚が墓場とすれば七回忌  颯爽

七福神の舟が出てゆく熱帯夜  赤松ますみ

選評

エルニーニョ現象と七の段。七の段って掛け算の九九ですよね。はじめて九九を習った時、ニの段とか五の段のようにすらすらと言え無かった。エルニーニョという厄介な現象と、七の段の取り合わせが絶妙。

●画

妹尾凛選

特選

メデューサの画期的頭突きについて  サリサリニャーマ

入選

エリ子の画鋲が許してくれません  尾崎良仁

パン屋から帰る男の無計画  真島久美子

画数を減らして飛行船に乗る  暮田真名

新企画の蒙古斑なら500ペソ  蟹口和枝

画材屋の白ふくろうはおしゃべり  原きなこ

選評

ギリシャ神話のメデューサから頭突きへの展開がユニーク!いったいどんな頭突きなのやら…。「…について」と、まだ 話が続くかのように含みをもたせつつ句を終わらせているのも、句を放り投げる感じがして、ユニークな句をさらに魅力的にしていると思う。

●刻

猫田千恵子選

特選

くうらりと時を刻んでいる秘仏  北村幸子

入選

取り出すと光る刻みたての真夏  いわさき楊子

腐刻画の燕はペキン語で話す  湊圭伍

みちのくは定刻通りマイアミに  石原弱

夕焼けが道を塞いだから遅刻  小原由佳

刻まれた音はマーラー第5番  加藤当白

選評

「時を刻む秘仏」を表す言葉として「くうらりと」という表現を発見した作者に拍手。滅多にお会いできない仏様が、普段はどうお過ごしになっているのか、(不謹慎ながら)ちょっと覗いてみたくなります。

●無

三好光明選

特選

水無月の無胃魚の腸を噛んでをり  岡 一夏

入選

無料体験する池田屋騒動  月波与生

ハンガーに押印をする無国籍  うっかり

無伴奏だからまっすぐ咲くんだね  吉松澄子

友だちも家族も無いが月が出る  守田啓子

ハンカチを広げ無敵の女の子  鯉太郎

選評

「無胃魚」の見付に惹かれました。俳句的で少々「気取り」を感じましたが、作品の内容は鰯などの大衆魚の腸を楽しんでいる日常を連想でき、淡々と穏やかに流れてゆく暮らしを想像して親近感を覚えました。

●綿

早川柚香選

特選

綿100じゃないと有頂天じゃないと  宮井いずみ

入選

綿棒がそこそこいうてややこしい  中前棋人

二言目なんでもないと言う真綿  八木五十八

綿々と続く話を聞く金魚  柳本惠子

勝ちに行く木綿の白のブリーフで  北村幸子

裏側で真綿がずっと揺れている  平岡直子

選評

「綿100」と「有頂天」で、夏の日射しを浴びて膨らんだ綿の実が、秋晴れの空に向かってポンと弾けるのが見える。眼にも眩しい綿の白さ!「~じゃないと」の繰り返しには作者の意思の強さを感じる。ああ、早く有頂天に弾けたい。

●種

櫻井 誠選

特選

バナナです種も仕掛けもありません  楢崎進弘

入選

夏の恋スイカの種をよけながら  峯島妙

あなたから種は受け取りたくはない  四日の蝉

種だったころの話は尽きないね  沢茱萸

種まいて 水もやらずに そのまんま  後山果穂

マジックの種売る会社(花葉込み)  佐藤りえ

選評

いい句だと思うんだけどなー。でもそれは「好い」かも。申し訳ない。題の「種」がストレートに活きてて、色んな景が見えて、バナナを使うとか、口語とか。このバナナにはタネも仕掛けもあると思う。

●品

丸山 進選

特選

目玉品めがけてママのチャリが跳ぶ  風間なごみ

入選

品性も知性も無いが金バッチ  小林信二郎

一瞬の手品のごとき紅葉川  林山小春

品格を付ければ売れる本の題  坂本加代

骨壺に品良く入るオトウサン  真島久美子

福笑いの部品が円に並ぶ怪  森本頌

選評

日常の風景だが表現にスピード感があり、「目玉」「めがけ」「ママ」「チャリ」「跳ぶ」というリズムに説得力がある。主婦の超多忙の中、家族のため生活のため目玉品ゲットは、絶対負けられぬという愛情と根性が感じられる。

●潜

竹尾佳代子選

特選

匿名という指先に潜む鬼  八木五十八

入選

今はまだ潜水してる光る才  十音

潜り抜けてきました風と手を結び  永見心咲

誉めあげる言葉に潜む嫉妬心  坂本加代

古書店に潜る歴史の脱皮あと  四日の蝉

許可もなく潜伏してるデルタ株  紙谷 清

選評

匿名には顔がない。顔が見えないから真実を述べたい。インタビューのモザイクもアンケートの匿名も本心を、そして少しでも世の中を良くするため少々の痛いことも言える鬼であって欲しい。無責任な鬼でないことを望みたい句です。

●茶

八上桐子選

特選

茶漬けから茶漬けへ輪廻転生す  いわさき楊子

入選

手のひらの中に茶畑茶摘唄  小池正博

リモコンを片手に越えるお茶畑  史っ

茶葉ひらく次の魔法をかけますか  北村幸子

一人ずつ家族を仕舞う茶封筒  真島久美子

演奏は明日こわれる茶器がする  暮田真名

選評

輪廻転生という壮大な物語の主人公が、まさかの茶漬け。しかも茶漬から茶漬けという肩透かしをくらう。とほほとも、まんざらでもないとも思わせる、茶漬けの味わい深さたるや。喉越しよくお腹にたまる一句。

●黄

米山明日歌選

特選

半身は黄河をくだりシャチとなる  落合魯忠

入選

その舌は合法だろう黄のカンナ  いわさき楊子

黄昏をギュッと搾って夢で割る  芝岡かんえもん

黄昏を横断してる鼻のシワ  むさし

黄色い声ではしゃぐ多肉植物  原徳利

黄バイエル開くサルビア咲く前に  蔭一郎

選評

黄河は、いくつもの盆地、山脈をこえ流向流路をかえながら渤海に流入する河です。そこを半身だけで下ってきた。何故半身なのかの答えが、下五にあった。シャチの名の由来は、魚の胴に虎の頭をもつ空想上の生物、鯱です。シャチとなった体は、ゆったりと海を泳ぐ。心を揺さぶる句です。

●流

安藤なみ選

特選

どろどろと流れ出したらもう終わり  松長一歩

入選

柴犬の二足歩行を待つ流れ  山田ペチカ

華道展でんと流木見栄を切り  佐野由利子

振り向かないのが夏の雲の流儀  湊圭伍

どんな血を流すか虹を切ってみる  蔭一郎

タンポポを摘んで流浪の民である  赤松ますみ

選評

最初に浮かんだのは土石流による泥。そんな筈はない。そこで、物事や世の中の騒乱、自分の悩みや生身に当て嵌めてみると、抽象から具象に至る全てがこの句から湧いてくる。早く終わらせて仕切り直したくなる。

●王

瀧村小奈生選

特選

カメムシにも王位継承権はある  楢崎進弘

入選

夜中には横座りしている仁王  佐野由利子

フリースクールで学ぶ冥王星  山田こいし

ひんやりと王の膝王の積乱雲  いわねあきこ

にらめっこ象と王貞治とぼく  岡村知昭

みみずから王政復古の大号令  佐藤りえ

選評

「カメムシ」と「王位継承権」という遠く離れたものが1句の中に入ったときの親和性に驚かされた。盾のような形状、臭さゆえの孤高な感じ、カメハメハ大王を連想させる音。高性能マッチングアプリのような川柳。

●なかはられいこ選

潜ることみんなに舌を配ること  湊圭伍

七ってさたまに突風混ざるよね  尾崎良仁

お別れと霜取りはもう自動的  小原由佳

きよらかな潜水服の中の水  佐藤りえ

裏側で真綿がずっと揺れている  平岡直子

選評

「れいこさんは全部見てね」と言われた。全1996句見た結果、22句から全然絞れなくなった。うんうん唸りながら絞って残した5句である。川柳の可動域を広げてくれる子たちだと思う。あとは他のメンバーが拾ってくれることを信じて。


# by nezimakikukai | 2021-08-31 00:06 | Comments(0)

『水脈』第58号より

いちにちをゼリーまみれになっている   酒井麗水

ゼリーはやさしくて美味しい食べ物だし、好きか嫌いかと聞かれれば好きなほう。マスカットのゼリーは大好き。でも、「ゼリーまみれ」はいやだ。汗まみれより相当いやだ。顔や髪にあのにょろにょろしたものが絡みつくのは勘弁してもらいたい。取り払おうとしてもぐにょっととらえどころがなく、甘いからべたつきそう。さんざん想像させられて、なぜこんなに反応してしまったのかと考えたら、最近の気分が「ゼリーまみれ」に近いのかもしれないと思い当たった。猛暑にこれでもかとやっつけられたあと、連日の異常な雨。わたしのところは無事だったが、テレビでは常に大きな災害の映像が映し出されていた。すでにコロナ禍に何かを蝕まれているこの8月の不安とストレスだらけの現状。平仮名の「いちにち」は、単なる24時間ではなくわたしたちが生きている時間のように思えた。ゼリーの中から立ち上がって「おいしかったわ!」と言ってにっこり笑ってやりたい!!

# by nezimakikukai | 2021-08-24 09:56 | 火曜日にはねじをまく | Comments(0)



川柳句会「ねじまき句会」の公式サイトです

by 管理人:瀧村小奈生
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