月刊 ★ ねじまき 

「宮」という題。

「宮」。題詠という機会をもらわなかったら、使わないかもしれないと思う言葉だ。135回の記録でおわかりいただけるように、おおむね苦吟である。苦しいけれど、並んだ15句の合間から、必死になって「宮」と向かい合う仲間の姿も垣間見えるようでうれしくなってくる。ついでに、「海宮」がリュウグウだとか、思わぬ勉強もできる。「守宮」は使うまいなどというわかるようなわからないような決心で臨んだ人もいるらしく、何やらおもしろいのである。

宮仕えした事がある公孫樹   中川喜代子

「宮仕え」と「公孫樹」の響き合いが絶妙。題が生み出した句と言えるのではないだろうか。

重ねてみました守宮のつめたさを   八上桐子

ああ、やっぱり守宮には逆らえません。「つめたさ」を重ねられたら降参するしかない。

10月は「宿」にチャンスをもらうことになっている。
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# by nezimakikukai | 2016-10-11 23:57 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

金木犀の国へ。

なかはられいこ、青砥和子、妹尾凛、瀧村小奈生の4人で「杜人」の句会に参加させていただいた。青森からは笹田かなえさんも。仙台駅に降り立つと、青森から来たかなえさんや飛行機で神戸から来た凛ちゃんと、歩きながらいとも簡単に合流。すごいな、仙台。きっと目に見えない力が働いているにちがいない。仙台は、のっけから金木犀の香りに満ちている。季節が早い。やはり北の国だ。いっぱい花をつけた大きな木が街のいたるところにある。なかはられいこさんは、到着するなり「仙台に住みたい」宣言を連発していた。「いいなあ、仙台。」「好きだなあ、仙台。」確かに気持ちはよくわかる。「杜人」の句会レポートは、「ねじまき」♯3に掲載予定。句会の後、広瀬ちえみさんが素敵なお店に案内してくださって、おいしい夕食をいただいた。その途中で、どんな経緯だったのか「じゃあ、明日は松島で吟行しましょうか。」というちえみさんの声がして、翌日は松島吟行というオマケまで堪能した。夢のように(本当に夢のように)楽しい2日間だった。
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# by nezimakikukai | 2016-10-04 23:17 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

からだしかなくて鯨の夜になる    八上桐子

第135回ねじまき句会、雑詠の最高点句。意識される身体、真黒な夜の海、大きな鯨のからだ。伝わるという点で、この句の表現はなんと行き届いているのだろう。「鯨の夜」は、まるで大きな黒い空洞のような鯨を想像させる。「からだしか」ないワタシは「鯨の夜」になるのだ。ワタシの身体も輪郭だけの空洞のように感じられる。この差し迫った感覚は、読む者の身体に言葉を吸収するのと同時進行で入り込んでくる。そんな感触を受け取った。もちろん、読みは人によって異なる。しかし、どの人にも何かを伝える力を持った句であることは確かなようである。
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# by nezimakikukai | 2016-09-27 23:02 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

第134回ねじまき句会

題詠「宮」

1.ぽこぽこと月から宮が生まれます/青砥和子
(5票:犬山 中川 早川 丸山 猫田)

2.月満ちる宮で始める指しゃぶり/猫田千恵子
(3票:犬山 中川 早川)

3.宮刑の宮司なくなく巫女になる/犬山高木
(1票:大嶽)

4.真夜中に宮司モデルの招き猫/三好光明
(1票:丸山)

5.宮仕えした事がある公孫樹/中川喜代子
(8票:なかはら 早川 北原 安藤 瀧村 八上 魚澄 妹尾)

6.消毒をした蚊をチェックする宮内庁/安藤なみ
(4票:早川 三好 八上 魚澄)

7.風宮にペトリオットを配備せよ/瀧村小奈生
(4票:なかはら 猫田 青砥 妹尾)

8.世界記録で海宮にたどりつく/妹尾凛
(3票:なかはら 安藤 八上)

9.いにしへの呼吸故宮に充満す/大嶽春水
(1票:北原)

10.羊水を満たし子宮は海になる/早川由香
(2票:北原 安藤)

11.月の野や宮澤賢治かくれんぼ/魚澄秋来
(3票:犬山 青砥 大嶽)

12.荷が下りてほっと二宮金次郎/北原おさ虫
(4票:三好 瀧村 魚澄 大嶽)

13.神宮から駅までにあう蟻の数/丸山進
(7票:中川 北原 三好 瀧村 八上 魚澄 猫田)

14.半身は日陰となって国府宮/なかはられいこ
(6票:丸山 三好 猫田 青砥 大嶽 妹尾)

15.重ねてみました守宮のつめたさを/八上桐子
(8票:なかはら 犬山 中川 丸山 安藤 瀧村 青砥 妹尾)


「雑詠」

1.ト音記号ヘ音記号で怒鳴り合う/犬山高木
(3票:なかはら 丸山 魚澄)

2.鬼皮を剥くふるさとは無いけれど/魚澄秋来
(5票:犬山 安藤 瀧村 八上 大嶽)

3.胡麻の実が弾け転がるひとり旅/早川由香
(1票:大嶽)

4.からだしかなくて鯨の夜になる/八上桐子
(11票:なかはら 犬山 早川 北原 丸山 安藤 三好 瀧村 魚澄 猫田 
 青砥)

5.腰掛ける人畜無害そうな席/猫田千恵子
(7票:中川 早川 三好 魚澄 青砥 大嶽 妹尾)

6.降車所のバスは乗れないバスらしい/瀧村小奈生
(2票:猫田 妹尾)

7.アイロンで伸ばす王家の左肩/青砥和子
(8票:なかはら 犬山 中川 早川 丸山 八上 猫田 妹尾)

8.秋だねえチャスラフスカの脚ひらく/なかはられいこ
(3票:犬山 八上 妹尾)

9.いきなりの絶対的な途中下車/三好光明
(5票:中川 安藤 瀧村 八上 青砥)

10.スタッフは皆ところてんアレルギー/丸山進
(5票:なかはら 安藤 瀧村 猫田 青砥)

11.秋空に新しい耳生えてくる/妹尾凛
(4票:中川 北原 丸山 魚澄)

12.鼻摘みミーンミーンと鳴いてみる/北原おさ虫

13.いきなりのノックに怒っている西瓜/中川喜代子
(4票:早川 北原 三好 大嶽)

14.落ちそうな岩の下には鎖蛇/安藤なみ

15.夜更かしの虫と秒針コラボする/大嶽春水
(2票:北原 三好)
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# by nezimakikukai | 2016-09-27 22:37 | 句会結果報告 | Comments(0)

台風16号。

現在、午後11時11分。台風は名古屋をすでに通過した。静かである。台風の川柳ってどんなのがあるのかと検索してみたが、ウーンな感じだ。「台風・川柳」で新家完司さんの顔写真がバーン!と出ているページがヒットして、思わず「こんばんは。」と挨拶してしまった。台風の川柳の作品は見当たらなかったので失礼して、「俳句・台風」で検索してみた。さすが、滅茶苦茶いっぱいある。台風は秋の季語だから当然なのだろうが、ドカーンとまとめていろいろな作者の作品を見られてしまう。見ていて稲畑汀子さんの台風の句が群を抜いて多いことに気づく。台風がお好きなのだろうか。そんなこともまた面白い。

梯子あり颱風の目の青空へ    西東三鬼

「颱風」の漢字がかっこいい。台風を「颱風」と書くことはきっと一生ないだろうなと思う。
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# by nezimakikukai | 2016-09-20 23:33 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

2004「ヴァーサス」のころ。

展翅板見つめるときの眼の痛み   小池正博

なぜか私と川柳との出会いはすべて「短歌ヴァ―サス」から始まる。なかはられいこさんとつながって、ねじまき句会に転がり込んだのも「ヴァーサス」のおかげだ。「川柳カード」でも連句でもお世話になっている小池正博さんの句と初めて遭遇したのは、石田柊馬さんのコラムでのことだった。展翅板を見つめるところを想像して「ほんと、痛いわ。」などと独り言を言っていた気がする。川柳を書き始める前の話である。「短歌ヴァ―サス」には、〈現代詩ヴァ―サス〉〈俳句ヴァ―サス〉〈川柳ヴァーサス〉というコラムのコーナーがあって、とても楽しかった。「短歌ヴァ―サス」にご縁をいただいて、ねじまき句会に参加してみると、編集責任者のところに名前があった荻原裕幸さんが司会をしていらっしゃって、相当感動した。いつも出るのを心待ちにしていた雑誌である。あるとき、なくなったということもわからないくらい唐突になくなった。あの短い時期にあの雑誌と出会わなければ川柳を書いている自分は存在しない。2004年9月に私は初めて川柳を書いて初めてねじまき句会に参加した。個人的なことで申し訳ないのだが、9月はついつい振り返ってしまう月である。
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# by nezimakikukai | 2016-09-13 23:13 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

「ねじまき」♯3宣言。

「川柳ねじまき」の第3号を年末に発行する予定である。1号、2号と年に1冊のペースで発行してきた。年に一度の雑誌は年刊というのだろうが、あまり聞いたことがない。カメも驚くほどのゆったりペースだ。そして、3号となると怖さも一入である。知らず知らずマンネリ化していないか。黒々と手垢にまみれていないか。そもそも本当におもしろいのか。それでも私たちは挑戦する。読んでくださるみなさんに感謝の気持ちをこめて誠実に向き合いたい。おそるおそる私たちの川柳を差し出してみたいと思う。発行は12月下旬を予定している。
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# by nezimakikukai | 2016-09-06 17:05 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

家庭的紫芋の座り方   中川喜代子

8月の句会、題詠「家」の最高点句である。残念ながら8月の句会は欠席だったので、どのように選んだ理由、選ばなかった理由が語られたかを全く知らない。特に今回はほぼフルメンバーでの句会だったので、さぞかしおもしろかったにちがいない。返す返すも残念なことをした。私はと言えば、捨てられなかったのである。どうにも惹かれるのだ。「家庭的」ってどういうこと?料理でも人でもお店でもなく「紫芋」って?「紫芋」が座るって?座るということをイメージするにはかなり遠い形状だ。紫の上なら座るけれど、「紫芋」なのだ。「座り方」にまで言及しているので、単に座るという以上の話である。「家庭的紫芋」と呼ばれる人物の特徴的な「座り方」のことを言っているのかとも思うが、杳としてとらえどころがない。にもかかわらず捨てがたい魅力で引っ張られる句なのである。こういうときは素直になろう。はっきりしないけれど好きだと感じることにまずは素直になってみて始めればいいんじゃないだろうか。
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# by nezimakikukai | 2016-08-30 21:56 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

第133回ねじまき句会

「家」

1.家空き地路地家空き地空き地家/猫田千恵子
(7票:なかはら 丸山 安藤 大嶽 犬山 中川 瀧村)

2.空蝉の中の器の中の家/八上桐子
(1票:三好)

3.薄紙で家に猫耳つけてみた/妹尾凛
(4票:二村 三好 犬山 米山)

4.ピンポンと家が鳴くのでございます/なかはられいこ
(4票:妹尾 猫田 北原 中川)

5.家族だな透かし模様がおんなじだ/米山明日歌
(8票:二村 八上 魚澄 大嶽 北原 犬山 中川 瀧村)

6.三枚におろして茎のない家族/安藤なみ
(2票:北原 三好)

7.家庭的紫芋の座り方/中川喜代子
(9票:なかはら 八上 妹尾 猫田 大嶽 丸山 三好 米山 瀧村)

8.さあどうぞ仕掛け花火と中川家/青砥和子
(3票:八上 北原 丸山)

9.堂々と平家を名乗り飛ぶ蛍/北原おさ虫
(3票:魚澄 大嶽 中川)

10.脚本家みどりのひとは追い出して/三好光明
(2票:安藤 青砥)

11.コカコーラコカコーラゼロ格闘家/二村鉄子
(5票:八上 猫田 犬山 安藤 瀧村)

12.隠れ家に帰宅の時は合図して/大嶽春水
(2票:魚澄 青砥)

13.家紋なら丸に四つ葉のクローバー/瀧村小奈生
(4票:二村 猫田 安藤 米山)

14.マツコ似の家刀自おり盆休み/魚澄秋来
(5票:なかはら 妹尾 丸山 米山 青砥)

15.チャイム鳴り家路を急ぐ連合艦隊/犬山高木
(4票:なかはら 妹尾 魚澄 青砥)

16.いにしえの家賃におわれ水くぐる/丸山 進
(1票:二村)

「雑詠」

1.ドーピング大会組織いいんかい/安藤なみ
(1票:北原)

2.稲妻が金継ぎ茶碗の中駈ける/中川喜代子
(4票:魚澄 大嶽 犬山 青砥)

3.高気圧腰から下は本気です/犬山高木
(4票:丸山 魚澄 三好 米山)

4.もう一度箱に戻してする話/米山明日歌
(9票:なかはら 八上 妹尾 二村 魚澄 丸山 大嶽 中川 青砥)

5.きき耳ずきんで すいかの音を聞く/大嶽春水

6.この町を毎日去っていく電車/瀧村小奈生
(7票:なかはら 二村 魚澄 丸山 北原 中川 青砥)

7.ひぐらしの恋はカキクケコで綴る/北原おさ虫
(4票:猫田 犬山 安藤 瀧村)

8.手は毛を毛も手の毛へ毛と手が毛で手か/八上桐子
(5票:なかはら 妹尾 猫田 犬山 三好)

9.遠吠えのように挨拶する女/猫田千恵子
(9票:二村 妹尾 八上 丸山 大嶽 北原 安藤 米山 瀧村)

10.トラウマで駆ける戦前から逃げる/丸山 進
(2票:北原 中川)

11.ふくろうとまめでんきゅうが鳴き交わす/なかはられいこ
(6票:八上 猫田 犬山 安藤 米山 瀧村)

12.さざなみが聞こえるピンクのソーメン/妹尾凛
(6票:八上 大嶽 中川 米山 三好 青砥)

13.パンツ脱ぐページをなぞる温シャワー/三好光明

14.炎昼を蟻の太郎の出奔す/魚澄秋来
(1票:妹尾)

15.誰もこないやることがないアラモード/青砥和子
(3票:二村 三好 瀧村)

16.大学生対角線に十五人/二村鉄子
(3票:なかはら 猫田 安藤)
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# by nezimakikukai | 2016-08-27 13:49 | 句会結果報告 | Comments(0)

祝杯。

愛知県連句協会から入選のお知らせが届いた。第31回国民文化祭あいち「連句の祭典」の歌仙募集に応募したねじまき句会のメンバー有志による歌仙「うすらひや」が愛知県連句協会奨励賞をいただいたとのことである。さっそく日曜日の句会の後にささやかに祝杯をあげた。が、悔しいのである。513巻の応募作品の中から目にとめていただけたことは幸せなことである。連句として明らかに瑕疵がありながらも、選んでいただけたということは捌きさえしっかりしていればもっといい作品にできたということに他ならない。連衆にこれほど恵まれながら、その力を生かせていない捌きの力不足が悔やまれてならない。捌きの力が足りないと・・・1.作品に疵をつくる。2.ルールに縛られて自由な物語が紡げない。この2点がいちばんいけないのだと思う。ルールを窮屈なものにするのも、作品を羽ばたかせるためのジャンプ台にするのも、捌きの力量次第なのではないか。愛知県連句協会からもう1通のお知らせが届いた。二村鉄子さんとの両吟で応募した「大名古屋ビルヂング」の入選のお知らせである。返す返すも連衆に恵まれているのだ。素晴らしい連衆のみなさんに申し訳ないことをしていると思うと、悔しくてたまらない。
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# by nezimakikukai | 2016-08-23 16:43 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

川柳句集「スローリバー」

川合大祐さんの川柳句集「スローリバー」が、あざみエージェントから出版された。どこまでも青一色の表紙にまずドキリとさせられる。冒頭の「猫のゆりかご」の章では、川柳を書くこと、言葉を発すること、文字をつづることと向き合う作者の姿に出会う。川合大祐さんが、川柳を呼吸し言葉に寄り添って生きていることを強く感じる章である。私は作者の書く月の句に惹かれる。

満月を開ければ 何もない廊下
午後もまた未来のひとつ 月だ
目の裏を見るように見る月の裏

まあるい完成した形である月を見つめるところから生まれるさびしさのようなもの。月ではないけれど、こんな句も。やはり丸くて完璧な形とさみしさがつながっている。

同心円みんなさみしくなりなさい

川合大祐さんの句を読みながら、カート・ヴォネガットの祈りのような言葉の断片のいくつかを思った。

I wanted all things to seem to make some sense, so we could all be
happy , yes, instead of tense. And I made up lies, so they all fit nice,
and I made this sad world a paradise.(すべての物事がつじつまが合うものであってほしいと思う。そうすれば、われわれはみんなハッピーになれるし、緊張しなくてすむ。だからわたしは嘘をいくつもついてきた。そうすれば、すべてが丸く収まるし、この悲しい世界を楽園にすることができるからだ。)

~「国のない男」カート・ヴォネガット/金原瑞人訳(日本放送出版協会)より
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# by nezimakikukai | 2016-08-16 12:36 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

古錐さんのこと。

おかじょうき川柳社の角田古錐さんの訃報が届いた。私が古錐さんにお会いしたのはたった一度きりだ。初めてお会いして、にっこり笑いかけてくださった瞬間に、ほっとすると同時にずっと以前から知っている方のように錯覚してしまった。本当にそんなことがあったのかどうか記憶は定かでないのだが、隣にすわって静かに話してくださる古錐さんの声に耳を傾けていた気がするのだ。お会いしない時間のうちに古錐さんのイメージはどんどん蓄積されていった。誠実で思慮深い。飄々としてときどきお茶目。ジャズを愛するかっこいいおじさん。クールだけど温かい。青森に行けば、またお会いできるものと思い込んでいた。その場所に古錐さんがいなくなることなど思いも寄らなかった。いつだって私は迂闊でぼんやりだ。

まあしょうがないなと欠けた月を見る  角田古錐

ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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# by nezimakikukai | 2016-08-09 23:29 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)



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