月刊 ★ ねじまき 

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題詠「客」

柿の木から落ちた客室乗務員   丸山進

まだ青い隣の客を柿が食う    瀧村小奈生

どちらの句も「隣の客はよく柿食う客だ」を下敷きにしている。前者は、「客室乗務員」が核になっていて、早口言葉への連想から「柿」の木から落ちる事態となる。後者は、早口言葉の中の「客」と「柿」が入れ替わることで、ホラーめいた世界が現れる。手法は全然違うが、誰もが知っている早口言葉に支えられている点で共通している。特に後者の場合は、「柿」と「客」の入れ替えだけである点をよしとしない判断もあってしかるべきであり、この句を選ぶかどうかは、その点を承知の上でおもしろいと思えるかどうかにかかっている。

さて、最近ではそれを口にすることに虚しさと気恥ずかしさを覚えるせいか誰も言わなくなったのだが、こういう句が出てくるということは、「客」という題の難しさのあらわれではないだろうか。ホント、苦労しました!
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by nezimakikukai | 2016-07-26 18:26 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

第132回ねじまき句会

題詠「客」

1.大五郎刺客の未来に嫌気さす/犬山高木
 (1票:大嶽)

2.うすい影 観客席に置いてきた/大嶽春水
 (4票:丸山 中川 三好 魚澄)

3.貘呼んで客間の軸を食べさせる/中川喜代子
 (2票:犬山 大嶽)

4.柿の木から落ちた客室乗務員/丸山 進
 (4票:なかはら 二村 青砥 妹尾)

5.乗客は望まぬほうへずれてゆく/青砥和子
 (4票:瀧村 安藤 魚澄 大嶽)

6.客筋にピンクと青の筋入れる/三好光明
 (4票:丸山 安藤 二村 青砥)

7.お客さんと思ってた人が母でした/魚澄秋来
 (3票:瀧村 猫田 妹尾)

8.まだ青い隣の柿が客を食う/瀧村小奈生
 (4票:なかはら 猫田 三好 青砥)

9.高砂や鶴が客間を横切った/猫田千恵子
 (3票:丸山 犬山 妹尾)

10.お客さんあしたもくるのまいにちだね/二村鉄子
 (1票:三好)

11.水引に結ばれているお客さま/なかはられいこ
 (3票:犬山 中川 安藤) 

12.小さなお客さま降ってくる夕べ/妹尾凛
 (5票:なかはら 瀧村 中川 猫田 魚澄)

13.すり足ですり減っていくお客さん/安藤なみ 
(1票:二村)


雑詠

1.絵の外へわたしの椅子をさがしに/妹尾凛
 (2票:丸山 二村)

2.ど根性ガエルを焦がすアスファルト/安藤なみ
 (3票:瀧村 中川 妹尾)

3.約束をしているような夜と猫/なかはられいこ 
 (3票:三好 魚澄 大嶽)

4.積極的に付録をめざすバナナ/二村鉄子
 (5票:なかはら 瀧村 安藤 猫田 丸山)

5.変らずに明けるはな子のいない朝/猫田千恵子

6.肩甲骨剥がせば真新しい朝/瀧村小奈生
 (5票:なかはら 犬山 二村 三好 大嶽)

7.父さんがそっと鑑定される夏/魚澄秋来
 (5票:なかはら 丸山 三好 青砥 妹尾)

8.負けちゃえば穴の出口はすぐ近く/三好光明
 (6票:中川 安藤 二村 青砥 魚澄 大嶽)

9.裸の背に鱗一枚の錯覚/青砥和子
 (1票:犬山)

10.シンデレラのその後のような今朝の顔/丸山 進
 (2票:猫田 青砥)

11.解けていく輪の端っこを持たされる/中川喜代子
 (3票:犬山 魚澄 )

12.あつすぎてうなだれている扇風機/大嶽春水
 (1票:瀧村)

13.雲水のお勤めにあるヘアメイク/犬山高木
 (3票:中川 安藤 猫田)
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by nezimakikukai | 2016-07-26 18:06 | 句会結果報告 | Comments(0)

題詠「室」より。

側室もないが自分の部屋もない  北原おさ虫

久々にオジサンのトホホ度満点の句に出会って爽快だった。側室っていわゆる愛人ですか?愛人よりちょっと格調高いのかなあ。いずれにせよ、そんなのそこいらのオジサンにはまあまあ無縁ですよね。そんな気力も甲斐性もないのが一般的にちがいない。住まいだって、そうそう豪邸に住めるはずもなく、側室をおくような部屋がないどころか自分の部屋もないという。たいしたことは何も言っていないのだが、軽妙で嫌みのない面白さがある。「側室もない」と言われると、一瞬「客室」「和室」のような部屋の種類に聞こえるのもいい。
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by nezimakikukai | 2016-07-19 23:20 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

少女について。

第131回ねじまき句会の雑詠の句。

ガチャガチャを回すと転がり出る少女  猫田千恵子

まさに「少女」である。こういうときに「少年」は出てこない。少女だって「ガチャガチャ」から出てくるはずはないのだが、出てきておかしくない気がするのだ。透明のプラスチックに入った少女。危うさや不完全さをもつ少女のイメージがすんなりと伝わってくる。ガチャガチャを回すときの期待感と諦めの入り混じった不思議な感覚も少女にふさわしい。粗雑なのに繊細で、安っぽさもあるのに抜群に輝いている。相反するものを内包して少女はそこにいる。東直子さんの短歌にも、しばしば少女が現れる。

真夜中にきらきら座る少女たち箱詰めされる球体として  東直子
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by nezimakikukai | 2016-07-12 22:51 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

「川柳 フェニックス」

フェニックス川柳会は瀬戸市を拠点とする川柳のグループである。ねじまき句会の丸山進さんが瀬戸市の「学びキャンパス」で開いている講座のメンバーから生まれた川柳の会だ。みなさん向上心旺盛で積極的、そして何より川柳が大好きで、川柳のある暮らしを楽しんでいらっしゃるのが伝わってくる。フェニックス川柳会の安藤なみさん、北原おさ虫さん、三好光明さん、そしてもちろん丸山進さんはねじまき句会のメンバーでもある。瀬戸は川柳がホットな土地なのだ。瀬戸焼そばより川柳がホット!・・・だと思う。「川柳フェニックス」第6号からお気に入りをピックアップさせていただく。瀧村小奈生の3句選。

焚火から古代の顔が現れる      安藤なみ

*火をじっと見ているとこんなものも見えそう。「火」と「古代の顔」って何だか説得力があるのだが、ほんとは古代の顔じゃなくて知り合いの誰かに似た顔なのかも。

ユーミンと息を合わせたみじん切り  稲垣康江
 
*みじん切りにふさわしいのは「恋人がサンタクロース」かなあ。「ベルベットイースター」じゃ不揃いになってしまいそうだしスピードも出ない。「リフレインが叫んでる」もいけそう。・・・みじん切り、楽しい!

長い目で見るとお役に立てている   三好光明

*「お役に立てている」ってなかなか言えないんじゃないだろうか。「立っている」じゃなくて「立てている」というところに自負と謙遜の両方がうかがえる。でも、まず長い目で見てもらわないと。
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by nezimakikukai | 2016-07-05 23:20 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(2)



川柳句会「ねじまき句会」の公式サイトです
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