月刊 ★ ねじまき 

カテゴリ:火曜日にはねじをまく。( 177 )

清潔な終焉を聴く貝の耳   小池正博

私はこの句から聞こえてくる静寂が好きである。終焉は清潔で、それを聴くのは耳、そして耳は貝。どこまでも静かな世界だ。肯定も否定もない世界の耳。

「川柳カード」が3月発行の第14号をもって終刊した。冒頭の句は、その14号の小池正博さんの10句『動物図鑑』の最後に置かれている。そうなると意味深長な気もするのだが、それ以上にわたしには堀口大学の訳詩を思い出させる。

わたしの耳は貝の殻  海の響きを懐かしむ
    (ジャン・コクトー  堀口大学訳)

郷愁を感じさせる響きはそのせいだったかもしれない。
[PR]
by nezimakikukai | 2017-04-11 23:25 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

鉄塔は鉄の頃からさびしがり   なかはられいこ

3月の題詠「頃」の最高点句。鉄塔に鉄の頃があったのはあたりまえのことだが、そのことに思いを馳せる人はどれほどいるのだろう。わたしがこの句に惹かれるのはまさにその点である。もちろん、さびしがりだと心を寄せることにも共感するのだが、それもこれも鉄の頃があったことに気づいてこそだと思う。川柳を書くということは、対象に対する曇らない眼をもつこと、偏見のない柔軟な視線でまっすぐに見つめることなのではないかと改めて考えさせられた一句である。おぼろげな記憶なので間違いがあるかもしれないが、東京タワーは朝鮮戦争の戦場から帰ってきた戦車や武器を溶かした鉄でつくられたと何かで読んだように思う。あの赤い鉄の塔が生まれたときから悲しい記憶をもっていたという話である。だとすれば、さびしがりなのももっともなことだ。最近、スカイツリーを隅田川の向こうに見る機会があった。川面を見ていてたまたま顔を上げたらライトアップされた美しい塔があって、「ん?スカイツリー?」と気づいたのだが、あっけらかんとして割に感動が少なかった。さびしがりだった頃のない素材で構築されているせいだろうか。
[PR]
by nezimakikukai | 2017-04-05 01:38 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

小池正博氏来名。

「来名」と入力しようとしたら、「雷名」が出た。確かに、名声とどろきわたる小池さんなり。次に「雷鳴」。雷の鳴るごとき厳しい批評で句会をバッサリ!・・・いえいえ穏やかな小池さんであった。で、やっと「来名」。川柳のためなら全国どこへでも飛んでいく小池さんが、ねじまき句会参加のために名古屋に来てくださったのだ。遠いところをようこそ!と、青砥和子さんの計らいで小池さんを囲む名古屋飯の会を催したあと、句会に参加していただいた。小池さんにも事前に投句をしていただき、いつものように作者名を伏せた状態で選句をする。選んだ理由、選ばなかった理由も他のメンバーと同じように述べていただいた。いつものメンバー以外の方の意見が聞けるのは新鮮で楽しい。その句会の結果報告は来週にはできる予定。
[PR]
by nezimakikukai | 2017-03-21 22:49 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

樹萄らきさま

いつも「ねじまき」を読んでくださってありがとうございます。
らきさんの送ってくださる冊子には、その年のらきさんがぎっしり詰まっているので、一度もらきさんにお会いしたことのない私ですが、旧知の間柄のように錯覚してしまいます。2016年のタイトルは「霧隠才蔵様ですね奥へ」でした。さあ、私はページが開けません。霧隠才蔵は奥へ案内されるのだな。猿飛佐助はあかんのか?たしかに才蔵さんはかっこよさそうだけど、そういう問題か?なんで才蔵さんだけOKなのかと立ち止まってしまうからです。挙句の果てに、いいや、才蔵様ってことにしよ、と奥に分け入ってしまうのですけどね。ひとたびページを開くと、そこは一面の〈らきさんワールド〉。楽しく交信させていただきました。毎年こうしてらきさんにお会いできることを楽しみにしております。2016年のらきさんの川柳から。

いざいざいざ春に怯むはいとおかし
空に問う大きいものは何ですか
雨がくるでんぐり返るどんでん返る
新しいノート引っ掻き傷模様
角度にも弱さはあって三角定規

2017年もいっぱいらきさんの言葉をつづってください。
ねじまきもがんばります。
[PR]
by nezimakikukai | 2017-03-14 20:39 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

愛とルッコラ

雪の日よ今日さがすのは愛とルッコラ   魚澄秋来

サラダがつくりたかったのだろうか。ルッコラのサラダが食べたいと思ったら、もうどうしてもルッコラ!みたいな。ついでに愛もさがしてみたというような愛のさがし方に嫌みがない。ルッコラと一緒に探す愛なら重苦しくなくていいかもしれない。冒頭の「雪の日よ」がよく効いている。すーすーとした冷たさがあって、雪の日にわざわざさがすルッコラであって、ついでにさがされる愛があって、なにやら妙におもしろく、かつ爽やかである。よく知っていると思うのだけれど、食べてみると微妙に自分の知っているのとは違う味のものを舌の上で転がしているような不思議な感覚がある。
[PR]
by nezimakikukai | 2017-03-07 22:56 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

「川柳木馬」第150・151号合併号

高知から文旦が届いた日、同じく高知から「川柳木馬」が届いた。川柳木馬とかけて文旦ととく、その心は、どちらもいい匂い。巻頭は「作家群像・徳長怜 篇」である。またまた、いい匂い。怜さんとは、「カード」の大会の二次会のあと一緒に地下鉄までダッシュした仲である。あのときは清水かおりさんも一緒だった。あちらこちらで徳長怜さんの句に出会って、いつからか何かあると怜さんの句を探すようになっていた。でもこうして、まとまったかたちで句を読ませていただいたのは初めてだったので、とてもうれしかった。

長期予報ではあなたは海である

じゃあ短期予報だと何なのだろうとか、長期予報で海だという人を私は好きになれるのだろうかとか、ついつい考えてしまう。作者の投げた言葉の先で遊ばせてもらう楽しさ。しかもなかなか気持ちいい。

バス停は武士になる気で立っている

やっぱりなあ。怜さん、そうだと思ったよ。まちがいなく武士!思わず納得させられる。

舟偏をつけてたゆたうのも一手

なんてシャープ!うまい!だけど、それだけじゃない。あり得ないことなのだけれど、舟偏をつけてたゆたうことができそうな気がするのだ。

徳長怜さんの言葉は、想像力をぐわんと刺激する一錠である。
[PR]
by nezimakikukai | 2017-02-28 20:19 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

「頁」

この間の日曜日が句会だった。実質的に今年最初の句会。題詠は「頁」。今年の最初にいかにもふさわしい題である。2017年の「新しい頁を開く」句会というわけだ。題との出会いは本当にありがたいことで、「頁」という字に「けつ」という読みがあることも「頁岩」という岩石のことも初めて知った。題詠の句のひとつひとつは、とても他人様とは思えない顔をして並んでいるように見える。「頁」という一文字をああでもないこうでもないと、矯めつ眇めつして呻吟した時間をメンバーと共有していたことに気づかされる。そうそう、それも考えた。ああ、それも句にしたいと思ったけどうまくいかなかった。だから出てきた句には妙に親近感があるのだ。自分がものにできなかった着想をしっかりと一句にしている作品には一抹の悔しさを覚えつつ感服する。それぞれの苦労がしんしんと伝わってくる第一「頁」であった。
[PR]
by nezimakikukai | 2017-02-21 23:47 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

ねじまきできました。

「ねじまき」#3がやっと完成しました。まだ印刷所から届いたばかりです。部屋の隅に積み上げられてしんとしずもっています。まだ沈黙を守っている・・・そんな感じです。今週の日曜日が句会なのでやっとメンバーの皆さんにもお届けできます。そのあと、待っていてくださった方にも順次発送して参ります。本当に大幅に予定が遅れてしまって申し訳ありませんでした。こちらにコメントをくださった樹萄らきさん、あと少しお待ちくださいね。
「ねじまき」♯3は、1冊500円。送料は200円です。読んでみたいと思ってくださる方、ご注文はコメント欄からも受け付けております。まず、コメント欄にその旨をお書きくだされば、その後メールで詳細(送り先住所、振込口座など)をやりとりいたします。どうぞよろしくお願い致します。
[PR]
by nezimakikukai | 2017-02-14 00:35 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(22)

久保田紺句集「銀色の楽園」より。

表紙の銀色から青へのグラデーションがとても美しい。この季節にぴったりの色合いである。

ゆっくりとひらくなんにもないこぶし
おひさまがまぶしいわたしわるいひと
ちいさくてかわいいそしておそろしい
もうひとつもらうなくしていいように
ひかりついたりひかりきえたりするわたし

すべて平仮名で書かれた句を拾ってみた。なぜこれらの句はすべて平仮名になったのだろう。意味のフィルターを通さないつぶやき。子どものようなありのまま。たどたどしい危うさ。それらを自覚的に書き表すときに平仮名が選択されるのだろうか。平仮名の句には、作者の声に触れているような感触がある。
[PR]
by nezimakikukai | 2017-02-07 23:03 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

第32回国民文化祭・なら2017「連句の祭典」

国文祭の連句作品の募集が始まった。例年より締め切りの時期が早く4月10日までだ。作品の形式は二十韻。昨年の愛知の場合は歌仙だったので、それに比べると分量的には気軽に取り組めそうである。その分応募作品数も多くなりそうだ。ねじまき句会でも「巻きませんか。」と声をかけたところ、次々に参加表明があって、とてもうれしかった。私も今年は去年よりは少しでも捌きとして成長したい!連衆に楽しいと思っていただける捌きができるようになりたいと思う。国文祭への連句作品の応募は、所定の連句応募票及び連句応募用紙に必要事項を記入して、インターネットまたは郵送で。応募票と応募用紙は奈良市ホームページからダウンロードするか、日本連句協会(office@renku-kyoukai.net)に請求してください。応募料は一巻につき2,000円。問い合わせ先は奈良県連句協会事務局(〒633-0077 桜井市大西834 もりともこ方 TEL.090-7095-0205)
[PR]
by nezimakikukai | 2017-01-31 22:43 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(2)



川柳句会「ねじまき句会」の公式サイトです
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
カテゴリ
フォロー中のブログ
外部リンク
最新のコメント
こいしさま 「額」への..
by nezimakikukai at 08:48
 今回の「ねじまき」の課..
by こいし at 08:49
「額」 魚澄秋来 その..
by nezimakikukai at 14:35
衛兵の額に苔の生えそうな..
by 猫田千恵子 at 11:04
木枯らし一号白き額を覗か..
by nezimakikukai at 10:20
「額」 少額の部にいる..
by 安藤なみ at 22:21
額縁は螺鈿細工の夜のこと..
by 笹田かなえ at 22:18
駄目押しに見せつけられる..
by 須川柊子 at 10:13
留守電は額紫陽花の木乃伊..
by susu0119 at 20:24
題詠 額 震度4でも笑..
by おさ虫 at 18:21
「額」  瀧村小奈生 ..
by nezimakikukai at 13:48
ドストエフスキーだろその..
by 犬山高木 at 20:05
ドストエフスキーだろその..
by 犬山高木 at 20:01
ふたたび川添さま ..
by nezimakikukai at 22:26
川添さま ありがとうご..
by nezimakikukai at 22:49
最新のトラックバック
検索
メモ帳
ライフログ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧