月刊 ★ ねじまき 

カテゴリ:火曜日にはねじをまく。( 185 )

句集『n≠0 PROTOTYPE』

兵頭全郎さんが送ってくださっシャープなデザインの句集。わ、す、すうがく・・・とちょっとビビりながら開く。全郎さんは一度ねじまき句会にも参加してくださったのだけれど、たまたま(そんなこと滅多にない低い確率なのに)私はお休みしていてご一緒できなかった。返す返すも残念なことであった。句集のなかの気になった句たちへ。

こめかみで続く絵本をめくる音
  絵本をめくる音ならいいかなあ。頭の中に海が広がりそうです。

起きてしばらく太平洋にひとり
  起きてしばらくは、そうですね。ただ茫洋と太平洋。

山にいて山の固さになる蚯蚓
  なぜだか運命という言葉を思ってしまいました。

河童闇となりの舟も空でした
  「舟も空」というわけのわからない状況にかなり惹かれます。

法螺貝を通った風の帰り道
  山伏さんのあの法螺貝を通り抜けた風のこと、初めて考えました。

卒業をほぼフルーチェの固さまで
  「まで」ってなんなんだろう?フルーチェが怪し過ぎて気になります。

句集のページから、淡々とした心地よい〈ひとりぼっち気分〉の香りが漂っているような気がする。

[PR]
by nezimakikukai | 2018-01-16 23:23 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

『川柳 裸木』

送ってくださった『裸木』のページを、お正月休みにやっとゆっくり開くことができた。情けないくらいの自転車操業的現実生活なのである。灰色がかった薄紫の楚々とした表紙が素敵だ。冬の乾いた白っぽい空に精いっぱい裸の枝を伸ばした木の姿を思い浮かべる。木の姿の中でいちばん心惹かれる姿。
いわさき楊子さんの句から。

体内の遠いあたりに給油する
鯖缶をパコリと開けてあきらめる
美しく剥いだラベルの置きどころ

日常生活の中で、違和感や諦めや戸惑いが、明確なかたちをとった一瞬が切り取られている。それはガソリンスタンドのセルフ給油の所在ない瞬間であり、プルトップの鯖缶を開けた一瞬であり、何ともきれいに剥がれたラベルを手にしたそのときなのだ。昔の缶切りでギコギコ開けるタイプの鯖缶ではこうはならないだろうなと思うと、それも可笑しい。

『裸木』はこの第5号で終刊だと知った。こんなとき、いつも旧約聖書の言葉が浮かぶ。「神のなさることは、すべて時にかなって美しい」始まったことも終わることも、きっと必要不可欠なことにちがいない。今後もメールでの活動は続けられるとのこと。終わりは始まりなのだと改めて思う。

[PR]
by nezimakikukai | 2018-01-09 17:34 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(1)

あと6つ寝ると・・・

もうすぐお正月。お正月が待ち遠しかったのはいつごろまでだったのか、今では年末年始というと慌ただしいばかり。新年といったって今日の次の明日であることに何の変わりもないわけで・・・などと言って大掃除のできない言い訳にしている。

だからって辞退できないお正月    三好光明

12月句会の雑詠の句である。思わず心が和んだ。そうですよね。うれしいばかりでもなくて、煩わしい部分も増えてきて、だからって辞退できません、確かに。それぞれに事情の違う読み手の思いが反映されて万感こもる「だからって」である。軽いけれども、決して音数合わせの常套手段などではない有効な言葉なのである。とりあえず、辞退できないのでお正月はちゃんと来てしまう。それでいい。なんたってお正月なんだから。辞退できないことに、それはそれでいいような気軽さも感じられるところがいい。師走のこの押し詰まった時期に、ほっと息をつかせてくれる一句である。

[PR]
by nezimakikukai | 2017-12-26 22:53 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

おおがい総集編。

今年の漢字は「北」だった。今年のねじまきは「頁」だった。12月なので、それらしく総集編を。各題2句の恣意的ピックアップ。

「頁」
びっしりと鳥が詰まっている頁     なかはられいこ
逆さまにしても夏とも頁とも      八上桐子

「頃」
鉄塔は鉄の頃からさびしがり      なかはられいこ
裏側の無かった頃の春の朝       三好光明

「頂」
頂に押されて少し凹む空        早川柚香
丹頂の赤はサークルKの赤       なかはられいこ

「順」
こぶたたぬききつねねぎ順次中華鍋   中川喜代子
足の爪憎い順から切っていく      北原おさ虫

「頬」
初夏のアリスの頬をくださいな     魚澄秋来
頬骨のカーブが同じ顔二つ       猫田千恵子

「頭」
前頭葉ななにんがけのななつぶん    瀧村小奈生
九頭竜にアバターとびかう青屏風    犬山高木

「顔」
ふと真顔かなかな夜の草書体      妹尾凛
魚の目を中心にして顔描く       二村鉄子

「題」
手つかずの課題ときどきチイと鳴く   丹下純
宿題は名前の由来しかも犀       安藤なみ

「願」
願いはらっぱらっぱはそらをふるわせる 八上桐子
銀杏散る三割ほどは嘆願書       青砥和子

「類」
担当の有袋類課に代わります      丸山進
年の瀬も南半球 衣類干す       大嶽春水

こんな感じで。

[PR]
by nezimakikukai | 2017-12-22 22:48 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

極まれり。

さすが12月、師走である。誰もかれも、どこもかしこも慌ただしい。押し詰まるまで、じたばたと過ぎていくのは間違いない。一昨日、昨日と続けて熱田神宮の周辺を通ったが、歩道に落ち葉がいっぱいだった。まだ黄色や赤の色を残したものから、すっかり茶色に枯れてしまったものまで様々である。時折、強い風に巻き上げられて大暴れしている。寒いので足早に歩く人の足の下で、しゃかしゃかと乾いた音を立てる。隣を歩いている人の音に耳を澄ましながら歩いていると、ついつい歩調が一緒になって競争しているみたいだ。極月か・・・と思う。確かに一年ここに極まれりという様相だ。冷たい空気、薄青い空。カレンダーもついにペラペラと一枚を残すのみである。

極月の雲ひとつなしあてどなし    橋閒石

[PR]
by nezimakikukai | 2017-12-14 22:40 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

あおによし金剛力士の骨密度   中川喜代子

「おもしろ川柳会合同句集」第十一号より。
奈良の東大寺の金剛力士像。あの形相なので骨も強そうな感じがするけれど、意外とポッキリタイプかも。マッチョな胸筋のあたりを見ていると、いかにも肋骨が感じられる。何百年もたっている像なので、確かに骨密度は低下しているかもしれない。立ちっぱなしの金剛力士には運動不足も心配な要因である。などと、骨のない金剛力士の骨密度をあれこれ想像してしまうことが、作者にまんまとしてやられることなのだろう。でも、こんな楽しいやられ方なら大歓迎だ。中川さんは、そういうアイテム探しがとてもうまい。先月の句会の雑詠もそうだった。

過呼吸の内匠頭の菊人形   中川喜代子

保育園の頃だったか、初めて枚方パークで菊人形を見て受けた衝撃がよみがえった。そう、あのときは私のほうが過呼吸になりそうだったけど。「過呼吸」と「内匠頭」、しかもただの内匠頭ではなく「菊人形」の内匠頭なのだ。絶妙!

[PR]
by nezimakikukai | 2017-12-06 23:30 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

フライパンの取っ手のネジのゆるむ雨   八上桐子

11月のねじまき句会の雑詠の1句である。題詠は事前に投句一覧がメーリングリストに流れるので、前もって考えてくる。しかし、雑詠は句会当日に初めて読んで選句する。いっせいに下を向いて選び出すのだけれど、雑詠10番のこの句にたどりついたとき、とりあえず手首がくらっとなった。フライパンを持ち上げた瞬間の〈くらっ〉、ネジがゆるんでいて〈くらっ〉。思わず顔を上げる。みんなの顔をそっと見る。あっちでも、こっちでも〈くらっ〉が起こっていそうな気がする。この同じ空間でみんなの手首に同じ感覚が走っているとしたら、なんかおもしろい。いや、たぶん十中八九そうにちがいない。「フライパンの取っ手のネジのゆるむ」これを取り上げたことがすごいっていうか、うれしくなってしまうできごとなのだ。私は10番に大きく〇をつける。やっぱり雑詠の最高得点句である。みんな〈くらっくらっ〉していたんだな。
[PR]
by nezimakikukai | 2017-11-28 22:59 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

手の中の海を息子が見せに来る    青砥和子

日曜のねじまき句会で、瀬戸のいわゆる丸山組から2冊の句集をいただいた。瀬戸丸山組には2系統あって、青砥さんや中川さんが所属するおもしろ川柳会と、安藤さん、三好さん、北原さんが所属するフェニックス川柳会がある。どちらも大親分は丸山進さんなのだが、瀬戸文芸は活況を呈しているのである。そういえば、作品はまだ拝見していないが、瀬戸の文芸祭では、青砥さんが短歌、丸山さんが俳句の部門でそれぞれ表彰されたらしい。ノリノリの瀬戸である。掲出句は「おもしろ川柳会合同句集第十一号」から。ねじまき句会で見る青砥さんの句とは少し趣が違うような気がする。もちろん、句に描かれていることは現実とは違うのだけれども、地元瀬戸の仲間との句会で読まれているせいか、作者の素の部分が感じられるような気がする。私は親になったことがないので、親として子供を育て上げた人に対しては心から尊敬の念を抱くのだが、息子が「手の中の海」を見せに来ることができる母親の姿はなんとも温かく好ましく感じられる。無条件の信頼関係とでもいったらいいのだろうか。なんだか羨ましい気さえする、私などが窺い知ることのできない世界である。

[PR]
by nezimakikukai | 2017-11-21 17:26 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

「やさしい川柳」教室

暮らしの学校(公益財団法人服部公益財団)で来年1月から瀧村小奈生の川柳教室が開講する。JR安城駅からすぐの安城アンフォーレにあるカルチャースクールの教室だ。1月から3月まで、第2・第4木曜日の午後1:00~2:30。川柳は初めてという方にも気楽に参加していただける講座にしたいと考えている。こうして御縁をいただくことで、人との出会いが生まれ、新しい言葉にも出会えると思うと、本当にありがたい。来てくださる方に楽しい時間を過ごしていただけるよう、勉強して工夫して頑張りたいと思っている。教室の体験もできるらしいので、三河地区のみなさん、ぜひ一度のぞいてみてください。

https://www.kurashinogakkou.org/anjo

[PR]
by nezimakikukai | 2017-11-14 22:45 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)

仙台三昧。

「川柳杜人」の創刊70周年記念句会および山河舞句追悼句会に行ってきた。ねじまきからの参加は、なかはられいこ、丸山進、青砥和子、八上桐子、妹尾凛、瀧村小奈生の6名。11月3日(金)はお食事のあと、なかはら、青砥、瀧村とカモミール句会の笹田かなえさんの4人が佛渕雀羅さんに連句をおねだりして部屋に押しかけた。二十韻を巻いて、とても楽しかった。11月4日(土)は大会。青砥さんが大活躍で、「和子」と呼名し続けた。それぞれが特選でもらえるゴディバを手にしてかなり満足。カモミール句会、おかじょうき川柳社の守田啓子さんは、なんとゴディバを2個ゲットしていた。5日(日)は、なかはら、笹田、八上、瀧村の4人で宮城県美術館へ吟行に。午後3時過ぎに桐子さん、かなえさんと別れて、れいこさんとわたしは仙台駅のみどりの窓口に向かう。そこで、思いがけない展開。仙台、出られない!18時33分まで空席がないらしい。しかたない。混みあったドトールの席にとりあえず座ってれいこさんと目が合う。「帰れない」の巻、巻きますか?とれいこさん。というわけで、最後に番外編のような二十韻を巻いてしまった。句三昧の仙台、なんかすごい。

宮城県美術館吟行 2017.11.5

十一月を引っ張ってきたのは小舟     桐子
   (れいこ、かなえ、小奈生)
マフラーは編みかけ雪は描きかけ    れいこ
   (桐子、かなえ、小奈生)
郭公の夜はときどき水っぽい      小奈生
   (れいこ、桐子、かなえ)
ムーミンの匂いの残る非常口      れいこ
   (桐子、小奈生)
白の中の白の中までささやくか     れいこ
   (桐子、小奈生)
声がするタイル一枚剥がすとき     小奈生
   (桐子、かなえ)
うさぎのおしりこじかのおしり遠い島  れいこ
   (桐子、小奈生)
秋草のもうほとんどやぶれかぶれ    桐子
   (かなえ、小奈生)
しおりあるページに残る月曜日     れいこ
   (桐子、小奈生)
半分は空で半分は午後三時       桐子
   (れいこ、小奈生)
あおみどり色の人からくる手紙     小奈生
   (れいこ、かなえ)
にんげんになる直前の赤の色      小奈生
   (れいこ、桐子)
波音でいっぱいになる鳥の胸      桐子
   (かなえ、小奈生)
一本の線にもどしてやる水も      れいこ
   (桐子、小奈生)
井の中のオーケストラのごあいさつ   れいこ
   (かなえ)
ぐだぐだと乳白色を分けあって     小奈生
   (かなえ)
函館のじゅうぶん幾何学的な海     小奈生
   (かなえ)
ひとびとは眠るインクの群青と     れいこ
   (小奈生)
神様に辿り着こうとする真っ赤     かなえ
   (小奈生)
えんぴつのかすれ具合も十一月     かなえ
   (小奈生)
滲むことだいじななまえ忘れること   桐子
   (れいこ)
ムーミンが猫背だったという事実    小奈生
   (れいこ)
秋草のややややこしいとこに月     小奈生
   (れいこ)
大皿の縁びらびらになる宴       桐子
   (れいこ)
完璧なラムセスになるのが希望     小奈生
   (れいこ)
かなしくてミスター・スポックを描く  小奈生
   (れいこ)
紅葉はそろそろ痒くなりはじめ     桐子
   (れいこ)
鳥たちのくちばし並べ海岸線      れいこ
   (桐子)
図書室が四隅残して紅葉す       小奈生
   (桐子)
ミルクの薄膜ムーミンが嗤う      かなえ
   (桐子)
消しゴムのかすだったのか声なのか   れいこ
   (かなえ)

※点数が入った句は全部並べてみました。


[PR]
by nezimakikukai | 2017-11-07 23:48 | 火曜日にはねじをまく。 | Comments(0)



川柳句会「ねじまき句会」の公式サイトです
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
カテゴリ
フォロー中のブログ
外部リンク
最新のコメント
こいしさま 「額」への..
by nezimakikukai at 08:48
 今回の「ねじまき」の課..
by こいし at 08:49
「額」 魚澄秋来 その..
by nezimakikukai at 14:35
衛兵の額に苔の生えそうな..
by 猫田千恵子 at 11:04
木枯らし一号白き額を覗か..
by nezimakikukai at 10:20
「額」 少額の部にいる..
by 安藤なみ at 22:21
額縁は螺鈿細工の夜のこと..
by 笹田かなえ at 22:18
駄目押しに見せつけられる..
by 須川柊子 at 10:13
留守電は額紫陽花の木乃伊..
by susu0119 at 20:24
題詠 額 震度4でも笑..
by おさ虫 at 18:21
「額」  瀧村小奈生 ..
by nezimakikukai at 13:48
ドストエフスキーだろその..
by 犬山高木 at 20:05
ドストエフスキーだろその..
by 犬山高木 at 20:01
ふたたび川添さま ..
by nezimakikukai at 22:26
川添さま ありがとうご..
by nezimakikukai at 22:49
最新のトラックバック
検索
メモ帳
ライフログ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧