川柳句集「スローリバー」
川合大祐さんの川柳句集「スローリバー」が、あざみエージェントから出版された。どこまでも青一色の表紙にまずドキリとさせられる。冒頭の「猫のゆりかご」の章では、川柳を書くこと、言葉を発すること、文字をつづることと向き合う作者の姿に出会う。川合大祐さんが、川柳を呼吸し言葉に寄り添って生きていることを強く感じる章である。私は作者の書く月の句に惹かれる。
満月を開ければ 何もない廊下 午後もまた未来のひとつ 月だ 目の裏を見るように見る月の裏 まあるい完成した形である月を見つめるところから生まれるさびしさのようなもの。月ではないけれど、こんな句も。やはり丸くて完璧な形とさみしさがつながっている。 同心円みんなさみしくなりなさい 川合大祐さんの句を読みながら、カート・ヴォネガットの祈りのような言葉の断片のいくつかを思った。 I wanted all things to seem to make some sense, so we could all be happy , yes, instead of tense. And I made up lies, so they all fit nice, and I made this sad world a paradise.(すべての物事がつじつまが合うものであってほしいと思う。そうすれば、われわれはみんなハッピーになれるし、緊張しなくてすむ。だからわたしは嘘をいくつもついてきた。そうすれば、すべてが丸く収まるし、この悲しい世界を楽園にすることができるからだ。) ~「国のない男」カート・ヴォネガット/金原瑞人訳(日本放送出版協会)より
by nezimakikukai
| 2016-08-16 12:36
| 火曜日にはねじをまく。
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